さらに進むとDCで一番新しいモニュメント、マーティン・ルーサー・キング牧師の像がある。
真っ二つに割れた岩の間から抜け出したようなつくりで、「絶望の山(Mountain of Despair)を突き破り、希望の石(Stone of Hope)となった指導者」「人種隔離政策(Segregation)はもはや黒人たちを抑えつけることはできない」という事実を象徴している。
腕を組んで正面を見つめるキング。視線の先に対峙するのは、建国の父と言われながら多くの奴隷を所有し続けたジェファーソンだ。
「威厳を強調した像は、質素を好み大衆とともに歩んだキングの意志に反する」。一昨年の夏に像が完成した時にはそんな論争も起こったが、今ではすっかりDCの新名所になった。
桜とマッチするように大理石は特にピンク色がかったものを選んだそうで、お花見スポットとしての人気も高い。
エイブラハム・リンカーン大統領のメモリアルはその後方にある。
今年はリンカーンが奴隷解放を宣言して150年目、キングがリンカーン像の前で「私には夢がある」(I have a dream)と演説したワシントン大行進(March on Washington)から50年目にあたる。
DC全体が「南北戦争から公民権運動へ」(From Civil War to Civil Rights)をテーマに歴史を回顧する様々な催しを行っている。
「桜祭り」の期間中はベイスン周辺に屋台が出る。DCらしいピクニックランチをするなら、ベイスンの東側にあるシーフード市場へ。チェサピーク湾名物のカニ、ブルークラブを売っている。
さっと蒸して紙袋に投げ込みスパイスを振りかけるだけ。半ダース8ドルのところ、「メスでいいなら8匹あげるよ」とマケてくれた。
観桜ウォークの最後は、ポトマック川にかかる橋を渡ってイオージマ・メモリアルへ。
第2次大戦で硫黄島の戦いを制した米軍兵士が摺鉢山の頂上に星条旗を立てる。報道写真や映画でおなじみのシーンを再現した彫刻は、暗闇でこそ迫力を増す。月光に輝くワシントン・モニュメントがバックドロップになる。
近くには、ジョン・F・ケネディ大統領も眠るアーリントン国立墓地と、ペンタゴン(国防総省)がある。
「9・11」の犠牲者を悼むペンタゴン・メモリアルには、桜ではなく、日本の楓の若木が植えてある。9月になると最も美しく紅葉するからだという。
取材協力/ワシントンDC観光局 (Special thanks to Destination DC)
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