シリーズアメリカ再発見⑨
ワシントンDC 花見紀行

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

桜の季節に泊まりたい
趣深いおすすめホテル

ザ・ジェファーソン
The Jefferson Washington DC

1200 16th Street NW, Washington, DC 20036
202-448-2300
www.jeffersondc.com

Courtesy of The Jefferson, DC

Courtesy of The Jefferson, DC

Courtesy of The Jefferson, DC

Courtesy of The Jefferson, DC

 フランス人による美しいボザール建築で1923年に高級アパートとしてオープンし、55年にホテルに改装された。内装はすべて、建国の父と呼ばれる第3代大統領トーマス・ジェファーソンにインスピレーションを得てつくられた。

 スイートを含めた99の客室は、当時のDCとジェファーソンが長く滞在したヨーロッパを再現し、美しい家具や調度で彩られている。廊下やサロンには、ジェファーソンゆかりの文書や美術品などが飾ってある。

 ロビーの天窓は、第2次大戦中に空襲の標的となるのを避けるため極秘で隠されていた。ほかに同様の理由で隠された天窓は、ホワイトハウスとメイフラワー・ホテルだけ。過去にレーガン大統領夫妻やジョージ・H・W・ブッシュ大統領一家も泊まった。

 最近改装を終えたばかりで、行き届いたサービスには定評がある。昨年の「Conde’Nast Traveler」による世界のトップホテルリストに、アメリカのホテルとして唯一選ばれた。16丁目とMの角にあり、メトロの駅にも近くて便利。

Courtesy of The Jefferson, DC

Courtesy of The Jefferson, DC

 3月20日に開幕する「全米桜祭り」にあわせて春のプロモーションを実施中。メーンダイニング「Plume」では、桜を意識した3種のデザート「ピスタチオ・クレーム・ブリュレ」「モレロ・チェリー・コンポート」「ユズ・ジャパニーズ・レモン・アイスクリーム」を用意。特製カクテル「Sparkling Sakura」(日本酒、サクランボのピューレ、桜シロップ、プロセッコ)も人気だ。

 併設のスパでは、「Japan Ritual Spa Treatment」がメニューに加わった。90分の「Wild Cherry Blossom Poultice Massage」は、体のバランスを整えてエネルギーを再補充。観光と花見ウォークで歩き疲れた後にぴったりのトリートメントだ。スパでは、ジェファーソンの邸宅「モンティチェロ」(バージニア州、ユネスコの世界遺産)で栽培したハーブ類を使っている。客室のソープやシャンプーにも取り入れている。

 また4月13日(土)はジェファーソン大統領の270回目の誕生日。Chris Jakubiecシェフによる特別メニューで祝う。

ザ・マディソン
Loews Madison Hotel

1177 15th Street NW, Washington, DC 20005
202-862-1600
www.loewshotels.com

Courtesy of Sarah Dorio Photography

Courtesy of Sarah Dorio Photography

Courtesy of Sarah Dorio Photography

Courtesy of Sarah Dorio Photography

 今年創業50年を迎えたホテル。開業時にはジョン・F・ケネディ大統領が出席して祝った。たびたび国際政治の舞台裏となり、冷戦時の1987年には旧ソ連のリーダーがここでレーガン政権の幹部と会議をもち「DCのクレムリン」と呼ばれた。ジョージ・W・ブッシュ大統領は就任直前、ここを仮の執務室として使った。

 シルバー、グレー、大理石、レザー、19世紀風の壁紙を多用したインテリア・デザインは落ち着いてモダンな雰囲気。由緒あるアパートに暮らしているような錯覚に陥る。

 15丁目とMの角にあり、向かいはワシントン・ポストの本社。ホテルのカフェで、ポスト紙の著名なコラムニストが取材相手とランチを食べているのを見かけた。

Wワシントン
W Washington D.C.

515 15th Street NW, Washington, DC 20004
202-661-2400
www.wwashingtondc.com

Courtesy of W Washington D.C.

Courtesy of W Washington D.C.

 ホワイトハウスの目の前という絶好のロケーション。イタリアン・ルネサンスとモダンが共存するデザイン。
 ミシュランの3つ星シェフとして有名なJean-Georges Vongerichtenのレストラン「J&G Steakhouse」が入っていて、大人気。またホテルの最上階にあるルーフトップ・バー「P.O.V.」はDCの中でも抜群の眺望。テラスからホワイトハウスやタイダル・ベイスンまでを一望できる。

超おすすめ!
国防総省「ペンタゴン」ツアー

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 時間があればぜひ参加してほしいのが、国防総省(通称ペンタゴン)のツアーだ。
 ウェブサイトを通じて予約できるが、アメリカ市民でない場合は「各大使館を通じて予約すること」と書いてある。しかしDCの日本大使館に電話すると、「知らない。こちらでは一切扱っていない」という冷たい返事…。だが、くじけてはいけない。

 国防総省の広報担当に聞いたところ、「アメリカ市民でなくてもペンタゴンのツアーには参加できます。ただこれらのリクエストに関しては、国防総省のポリシーが現在移行中のため、市民ではない居住者や外国人はツアーオフィスに直接連絡して問い合わせることをおすすめします」と言われた。

 ペンタゴンは五角形の巨大なビルで、2万3000人が働くアメリカの中都市並みの施設だ。郵便番号だけで6つもあり、中に入っている「Subway」では1日6500本のフットロング・サンドイッチが売れ、コーヒーも1日3万杯が出る。
 突然のデートや、恋人や夫婦の大切な記念日を忘れてしまっても大丈夫なように、宝石店や花屋、ヘアサロンなどが充実している。ガイドによると「恋人とケンカして一人寂しくソファで寝ることになってもいいように枕も売っています」。

 廊下の両脇には、米軍の歴史や英雄たちの活躍ぶりが展示されている。私が参加した日は1月末で、女性も男性と同等に戦闘に参加することが発表された翌日だった。そのうち勇敢な女性たちの戦いぶりがここに記録されることだろう。

 ツアーでは「9.11」で飛行機が激突した場所も見せてくれる。墜落現場の隣りにあるオフィスには、きまじめで休暇も取らずに働いてきた男性がいた。引退が近づき、同僚にうながされてようやく休暇をとったのが2011年の9月11日。しかし運命とはなんと残酷なものか。休暇先に向かう彼が乗ったのは、NYのツインタワーに激突した飛行機だった。

 そんなエピソードを聞きながら回るツアーの最後は、「メダル・オブ・オーナー」受賞者の名前が刻まれた部屋。日系人兵士の名もある。ペンタゴンで働く人たちが最も好きな場所だという。

■ペンタゴン・ツアーの詳細:pentagontours.osd.mil

ワシントンDCの
最新観光情報はここで!

Destination DC
www.washington.org

Courtesy of Destination DC

Courtesy of Destination DC

 桜祭り期間中のホテルの割引キャンペーン、リンカーン大統領にちなんだ観光ツアーなど、情報が盛りだくさん。
 ワシントンDCへは、東海岸の各都市からはアムトラックでのアクセスが便利。今年12月19日までにこのウェブサイトを経由してチケットを買うと、2人目の乗車券が30%オフになる。

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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