シリーズアメリカ再発見⑯
ハリウッドサイン90歳

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

世界のどこを探しても、これほど大きくて有名な、地名の看板はないのではないか。映画の都の愛すべきアイコン。きらびやかな成功を夢見て、世界中からドリーマーを引きつけるシンボル——。そんな「ハリウッドサイン」が、今年(2013年)の9月、90歳の誕生日を迎えた。白く輝く9文字は、ロサンゼルスのあちこちから眺めることができる。馬に乗って、ハイキングしながら、ヘリコプターで空の上からも! 見て遊んで楽しむ、ハリウッドサインのおすすめ鑑賞&展望スポットを紹介する。(*注:情報は掲載誌発行時点のものです)

Photos © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

馬に揺られて

広大なグリフィス・パークPhoto © Mirei Sato

広大なグリフィス・パーク
Photo © Mirei Sato

 ハリウッド観光の中心地、スターの手形や星が並ぶ「ウォーク・オブ・フェーム」から北へ。ビーチウッド・ドライブをハリウッドサインを前方に見上げながら車で10分も走ると、住宅街が終わって、道は行き止まりになる。
 「サンセット・ランチへようこそ」。ハリウッドサインのほぼ真下、山の中腹のポケットに隠れるように存在する乗馬センターだ。

 ハリウッドサインは、ロサンゼルスの北にそびえる山、マウント・リーのてっぺんにある。標高1680フィート。広大な市営公園「グリフィス・パーク」の一角だ。
 公園の中に乗馬用のトレイルは複数あるけれど、ハリウッドサインの南側(ふもと)というロケーションは、このサンセット・ランチだけ。「サインを見ながら馬にも乗れちゃう」という素晴らしいアイデアなのだが、観光スポットとしては意外に知られていない。

 かくいう私も、グリフィス・パークは何度も訪れているのに、行くのはいつも天文台や野外劇場がある東側ばかり。サンセット・ランチのある西側からパークに入るのは初めてだ。

馬に揺られて眺めるハリウッドサインPhoto © Mirei Sato

馬に揺られて眺めるハリウッドサイン
Photo © Mirei Sato

 60頭以上の馬たちと、カウボーイハットをかぶった元気なガイドさんが迎えてくれた。ここでの乗り方は、手綱をゆるめに持って片手で操るウェスタン・スタイル。練習でコツをつかんで、さっそく出発する。

 ランチを出るなり、急な山道。10分もしないうちに、あー見えた! 赤と白の電波塔、その横に、HOLLYWOOD。片手で手綱、片手でカメラのシャッターを切る。
 馬が進むトレイルはパークの東へ向かっていくので、しばらくするとサインは山の背後に隠れて見えなくなる。でもスリルが増すのはここからだ。馬も、散歩中の犬も、ジョギングする人も、皆同じトレイルを使う。邪魔にならないよう、馬はかなり端に寄って歩くのだが、肩越しに見下ろすとかなり急な崖。カーブもあるし、足を滑らせたら一直線なのは間違いない。
 「心配しないで~。馬だって、あなた以上に落ちたら怖いと思っているから、注意深くしてますよ」。下ばかり見ていたら、ガイドさんに笑って言われてしまった。

 馬上に揺られて見る景色は格別だ。公園の南東に突き出た天文台、ダウンタウンのスカイライン、太平洋まで。ハリウッドの人混みから10分走っただけで、別世界。何年もロサンゼルスにいながら、こんなワイルドな開放感を今日まで知らずにいたのは、もったいなかった。

馬、犬、人が共有するトレイル。崖は怖いが、眺めは素晴らしいPhoto © Mirei Sato

馬、犬、人が共有するトレイル。崖は怖いが、眺めは素晴らしい
Photo © Mirei Sato

Sunset Ranch Hollywood

Photos © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

3400 N Beachwood Drive,
Los Angeles, CA 90068
323-469-5450
www.SunsetRanchHollywood.com
ガイドがついてグループで進む1時間(40ドル)と2時間(60ドル)のツアーがある。ハリウッドサインが目当てなら1時間で十分。バックパックは禁止。受付で預かってくれるが、なるべく身軽な格好で行こう。ほかに夕暮れのサンセット・ツアー、BBQやランチつきツアーなど(要予約)。馬のレンタル、レッスンもある。

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