シリーズアメリカ再発見⑯
ハリウッドサイン90歳

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

ジェームス・ディーンの胸像Photo © Mirei Sato

ジェームス・ディーンの胸像
Photo © Mirei Sato

ジミーと一緒に

 ロサンゼルスは、アメリカのほかの大都市と違って、「へそ」のようなものがない。広くどこまでもスプレッドアウトしていて、真ん中がどこかさえ分からない。ダウンタウンに高層ビルが集まっているが、これだけの規模の都市にしては少ないし、そこが市民生活の中心ではない。大きな事件やイベントがあった時、どこからともなく群衆が集まる「お約束の広場」のようなものもない。

サインを見ながらランチやコーヒーをPhoto © Mirei Sato

サインを見ながらランチやコーヒーを
Photo © Mirei Sato

 それだけ、都市として市民としての一体感には欠けている。でもあえて一つ、ロサンゼルスの心、アイコニックな場所を挙げるとすれば、多くの人が「グリフィス天文台」と答えるのではないだろうか。

 ここへ来ると、ロサンゼルスのすべての色が見える。広さに圧倒され、この街がもつ暖かさと寂しさとが押し寄せてくる。市内随一の夜景スポットでもある。

 ハリウッドサインからはだいぶ離れているが、鑑賞スポットとしては絶対はずせない場所だ。初めて体験する乗馬やハイキングの計画に夢中で、後回しにしていたけれど、来てみると、やっぱりここがベストスポットじゃないかと、しみじみ感じた。

 グリフィス天文台は、映画「理由なき反抗」が撮影された場所だ。ジェームス・ディーンの胸像が、ハリウッドサインを背景にして立っている。それを見ていると、パパラッチとリアリティーTVがはびこる今のハリウッドにはない、アメリカへの郷愁や憧れが、素直によみがえってくる。
 生きていれば82歳。サインよりちょっと若いぐらいか。往年の二枚目俳優として、シワ除去に励みながら、頑張ってアクション映画にでも出ていたかもしれない。

グリフィス天文台からサインを望むPhoto © Mirei Sato

グリフィス天文台からサインを望む
Photo © Mirei Sato

Griffith Observatory

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

2800 East Observatory Road,
Los Angeles, CA 90027
213-478-0800
www.GriffithObservatory.org
グリフィス・パークの南東端、海抜1134フィートのヒルサイドトップにある。天文台の駐車場、周りの広場などからハリウッドサインがよく見える。天文台併設のカフェ「Cafe at the End of the Universe」で軽食を買って、テラス席でサインを見ながら食べよう。ベンチや芝生でピクニックもできる。
天文台は2006年に大規模改装を終えた。入場無料。プラネタリウムのショー(有料)が人気。

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