年末年始一時帰国スペシャル
「開業100周年」東京駅で遊ぶ!

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

2014年12月20日、東京駅が、開業100周年を迎える。これを記念して、昨年には、ニューヨークのグランドセントラル・ターミナルと姉妹駅提携を結んだ。赤レンガの重要文化財「丸の内駅舎」も、2年前に保存復元工事を完了。国際都市TOKYOのアイコニックなシンボルとして輝きを取り戻している。

Photo © Mirei Sato

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 まともに、しっかりと、東京駅を歩く。そんなことは、もう久しくやっていなかった気がする。歩いてみると、「ああ、ここで昔はよく待ち合わせしたなあ。駅弁を買って新幹線のホームに走ったなあ」と、小さな記憶がよみがえってきた。
 いろいろな店が増えた。縦横斜めに横町や通路が交差して、巨大な迷路のよう。それぞれの出口が、ピカピカしたショッピングモールや、デパ地下のような食品売り場、モダンなオフィスビルへとつながっている。どっちが丸の内でどっちが八重洲なのか、歩くほどに分からなくなってしまった。

待ち合わせ場所「銀の鈴」。しばらく見ないうちに「世代交代」していた。現在は4代目。初代は竹と銀紙でつくった張り子だったが、今はちょっぴり「テクノ」な感じPhoto © Mirei Sato

待ち合わせ場所「銀の鈴」。しばらく見ないうちに「世代交代」していた。現在は4代目。初代は竹と銀紙でつくった張り子だったが、今はちょっぴり「テクノ」な感じ
Photo © Mirei Sato

 それにしても、ずいぶん便利になったものだ、と実感する。私が子供の頃は、修学旅行や遠足といえば、決まって東京駅に集合。同級生と、「銀の鈴」の前で待ち合わせた。東京駅発でなければ、上野駅発。どこへ行くにもそんなものだった。
 それが次第に、東京都心に乗り入れる在来線の特急や新幹線が、品川や新宿、渋谷、大宮にも停まるようになった。地方から戻るとき、東京駅で降りなくても、山手線や埼京線に乗り継げる。こうして東京駅は、「数ある主要駅の一つ」に変わっていった気がする。
 1日平均40万人以上が乗り降りする巨大なターミナルは、関東大震災や東京大空襲を経て頑丈に生き延びてきた。ゆっくり見て回れば、柱やレンガ、ドーム天井などに、歴史の爪痕が読み取れる。
 丸の内駅舎の向かい側に昨年できた新しい商業ビル「KITTE」(切手)。ここの6階にある展望テラスに行ってみた。駅舎の全景が見える、絶好の撮影スポットだ。地方から来たらしいバスツアーの一行やシニアたちは、「きれいだわー」と言って駅舎を眺め、周囲に建設中の高層ビルを見て「東京駅も変わるわねー」と感慨深そうだ。一方で、若いカップルや子供たちは、駅舎よりも、その向こうのホームと線路に夢中。発着する新幹線を、カメラや双眼鏡で追いかけていた。

東京駅の向かい「KITTE」の6階テラスからは、駅舎がよく見えるPhoto © Mirei Sato

東京駅の向かい「KITTE」の6階テラスからは、駅舎がよく見える
Photo © Mirei Sato

 古さと新しさ、地方と都会が、微妙なバランスで共存している東京駅。オフィスワーカー、おのぼりさん、学生。走るように歩く人、スーツケースを転がす人、うろうろユルユル迷う人。ペースの違う人々がごったになりながら、誰もぶつかりあうことなく、きちんとうまく通り過ぎていく。
 整然としたカオス(混沌)——。なんともTOKYOらしい場所である。


取材協力/JR東日本、東京ステーション開発株式会社

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