ロサンゼルス発800
Degrees Neapolitan Pizzeria
東京・新宿 2016年4月オープン予定

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

「新アメリカン・ブランド」日本へ続々進出~第1弾
アメリカが、日本で再びブームのようだ。特に「食」の世界で、ローカル色の濃い新種のブランドが続々と進出している。ハンバーガー、ドーナツ、ピザなどが新しいスタイルのアメリカン・ブランドとして日本に上陸していく様を、数回にわたって紹介する。

モッツァレラとチェリートマトがたっぷりのったマルゲリータのピザ Photo © Mirei Sato

モッツァレラとチェリートマトがたっぷりのったマルゲリータのピザ
Photo © Mirei Sato

 「800 Degrees Neapolitan Pizzeria」のサンタモニカ店は、観覧車と桟橋が観光名所として有名なビーチから、わずか1ブロックのところにある。ウィルシャー・ブルバードと、セカンド・ストリートの角。

 店の隣りは、いま流行りの自転車エクササイズ、ニューヨークから進出してきた「SoulCycle」(ソウルサイクル)だ。快活でアクティブな、ロサンゼルスの鼓動が聞こえてくるようなロケーションだ。

生地にトッピングをのせて手早くピザをつくりあげていく Photo © Mirei Sato

生地にトッピングをのせて手早くピザをつくりあげていく
Photo © Mirei Sato

 この大きなガラス窓の店先で、ナポリ出身のピザ職人が、パイ生地をつくりあげている。生地に使う小麦粉は、イタリアから輸入した「00」というタイプだけ。サンマルツァーノの完熟トマト、カリフォルニアのミルクからつくるモッツァレラチーズ、その場でスライスするプロシュート……。

 カウンターのショーケースには、フレッシュなトッピングの素材が並ぶ。客はそこから好きなものを選んで注文する。パイクラストは、オリジナル、クリスピー、グルテンフリーと3種類あり、ソースも選べる。最近人気の「build-your-own」スタイルだ。

 生地づくりからトッピング、会計まで、店員が流れ作業でこなしていく。薪をくべたドーム型のオーブンは、最低でも800度の高熱に設定されており、1000度以上になることも。オーダーから焼き上がりまでは、90秒。

 ランチタイム近くになると、たちまち列ができる。ビーチやショッピング街のサード・ストリートから流れてくる学生や観光客、ショップの店員、最近増えたハイテク関連のオフィスワーカーたちも。どんどん回転していく。

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 本格的なイタリア・ナポリのピザを、手頃な値段で、素早く、カジュアルに――。「800 Degrees」はそんなコンセプトで、2011年、ロサンゼルスのウェストウッド・ビレッジにオープンした。UCLAのキャンパス近く、古い劇場を改装したビルの一角にはいる小さな店だ。

 やわらかいのに歯ごたえがある生地、フレッシュなチーズ、スモーキーなフレーバー。懐は寂しいが舌は超えたミレニアル世代に受け入れられ、すぐに人気の店になった。

シェフで創業者のアンソニー・キャロンさん Photo © Mirei Sato

シェフで創業者のアンソニー・キャロンさん
Photo © Mirei Sato

 シェフで創業者のアンソニー・キャロンさんは、ラスベガスなどに複数レストランを経営するマイケル・ミーナ・グループで長く働いていた。ファイン・ダイニングでの自らの経験をいかして、素材のよさを大切にした、という。

 日本進出を決めたのは、昨年だ。バケーションでロサンゼルスを訪れた「ルミネ」の社長が、ウェストウッドで食べたピザの味を気に入って、提携を持ちかけたという。それまでも海外進出やフランチャイズ化のオファーはいくつもあり、そのたびに断ってきたキャロンさんだが、日本となると違った。「一番好きな食べ物はスシ。個人的に日本と日本の文化にずっと興味を持っていた」からだという。

 駅ビルを中心に展開するルミネは、来年春、JRが新宿駅に整備中の「新南口」に完成するビルに入る。そこに「800 Degrees」の日本1号店もオープンする。まずは東京・新宿に、続く10年で日本各地に7店舗増やす予定だという。

 2020年開催のオリンピックに向けて、またアジアの中心都市として、東京にはこれからますます世界中から人が集まるようになる。そこで「アメリカン・ブランド」として広くアピールしていきたいという狙いもあるようだ。

主役はパイ生地。モチモチ、カリカリ、フワフワが同時に楽しめる Photo © Mirei Sato

主役はパイ生地。モチモチ、カリカリ、フワフワが同時に楽しめる
Photo © Mirei Sato


レギュラー生地にマルゲリータのソース、マッシュルームとアーティチョークをのせたピザ Photo © Mirei Sato

レギュラー生地にマルゲリータのソース、マッシュルームとアーティチョークをのせたピザ
Photo © Mirei Sato

 ただ、アメリカと違って、東京には、「本格イタリアン・ピザ」をうたうレストランはいっぱいある。そこでどう競争していくのか?

 キャロンさんは、「確かに、日本人はすでにナポリのピザの美味しさをよくわかっている。ナポリのピザ職人の選手権で日本人が優勝しているぐらいですから。でもその手のピザは、日本では値段の高い食べ物になっていると思います。800 Degreesは、上質のピザをもっとカジュアルに、大衆的に提供できます」と話す。ただ食べるだけでなく、自分でカスタマイズしてオーダーできる「体験型レストラン」としての魅力も売り込んでいきたい考えだ。

ロサンゼルス国際空港の国際線ターミナルにある店舗 Photo © Mirei Sato

ロサンゼルス国際空港の国際線ターミナルにある店舗
Photo © Mirei Sato


 

800 Degrees Neapolitan Pizzeria
www.800degreespizza.com

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 ロサンゼルスには、ウェストウッド・ビレッジのオリジナル店のほか、サンタモニカ、パサデナ、ダウンタウンに店舗がある。ロサンゼルス国際空港(LAX)の国際線ターミナルにも進出した。まもなく、ハリウッドとプラヤビスタにもオープンする。
 カリフォルニア州外では、ラスベガスのカジノリゾート「モンテカルロ」と「SLS」に入っている。イリノイ州エバンストン、海外ではドバイ(UAE)にもオープンする予定。
 主なピザは7〜8ドルから。メニューには、月に何度か変わる「Specialty Pies」もある。一番人気は「Margherita」。ソースなしでトリュフチーズ、ローストしたガーリック、アルギュラをのせた「Tartufo」も人気がある。
 トッピングは、ベーコン、アンチョビ、ペパロニ、シュリンプ、チキン、プロシュート、サラミ、エッグ、アーティチョーク、マッシュルーム、バターナッツスクアッシュなどがある。ピザ生地のデリケートさを失わないためには、トッピングはあれもこれもと欲張らず、2〜3種類にしておくのがベスト。

 ピザ以外のメニューでは、盛り合わせやサラダ風にして食べるブラッタチーズ、ビール、ジェラートなどがある。

ブラッタとビーツの盛り合わせ Photo © Mirei Sato

ブラッタとビーツの盛り合わせ
Photo © Mirei Sato

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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