第4回 「車より自転車が好きだから」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

車に頼らない社会を示す異色のイベントとは

 エコロジー・フレンドリーな街、ポートランドの移動手段は、車社会のアメリカにあってユニーク。空港からは、シャトルバスだけではなくライトレール(軽量軌道交通)が15分おきに市内に出ているし、市内では、MAXと呼ばれるライトレールやバス、ストリート・カーが広範囲に走っている。これらの運賃は、共通で2時間30分まで2.5ドル。時間内であれば乗り換えも可能だ。
 そして、さらに目立つのが自転車で走る人の多さ。前回も触れたが、人口当たりの自転車数は全米一。自転車用車線がきちんと確保されているし、駐輪ラックもあちこちにあり、バスや電車にだって自転車が持ち込める。市内を東西に分ける大きなウィラメット川も自転車で渡っていけるから、かなりの距離を走ることができる。
 自転車好きが参加するイベントも数多い。毎年6月には、「ペダルパルーザ」(Pedalpalooza)と呼ばれる3週間を越える期間に、個人が企画する自転車イベントが200以上(今年は286)も開催される。そして”ただ市内を走る“で終わらないないのがポートランド。自動車に頼らない社会を意思表示すべく行われるのが「ワールド・ネイキッド・バイク・ライド」で、文字通りなんと裸で自転車にまたがって街を走るというもの。これは世界20カ国以上、アメリカでも75都市以上で開催されるイベントではあるが、ポートランドは最大規模で、昨年は8000人を超える人がちょっとあられもない姿で街を堂々と走り抜けた。中には水着やパンツ着用という人もいるが、素っ裸の人も多数、なので撮影は禁止。イベントの存在感もすごく、参加者によるとその連帯感や解放感が心地よいのだそう。

Naked Bike Raceはこんな風 © Kari Rowe/TravelPortland.com

Naked Bike Raceはこんな風
© Kari Rowe/TravelPortland.com

 

真冬の自転車乗りを応援するパブも

 ビールの街でもあるポートランドだから、ビールと自転車も自然とフレンドリー。店内を自転車パーツが飾るオーガニック・ブルワリー「ホップワークス・バイクバー」(Hopeworks BikeBar)や自転車屋の中にパブがある「ベロ・カルト・バイク・ショップ」(Velo Cult Bike Shop)なんてのもあるし、バイクイベントをサポートするブルワリー・パブもある。ドッグ・フレンドリーなパブでもある「ラッキー・ラブラドール・ブリュー・パブ」は「Worst Day of the Year Ride」という真冬のたいがいが一番寒くなりそうな日(2月始めあたり)に、系列パブも入ったルートを自転車で走って回るイベントをもう11年もサポートしている。つまり「真冬だってビールを楽しめるように、ちゃんとウィンター・ギアを整えれば、自転車で走っても平気」という趣旨なのだ。走行中は、クッキーやコーヒーなどの提供だが、走り終わればおいしいビールが待っているのは言うまでもない。
 レンタサイクルも充実しているポートランド。ぜひ「来て、乗って、走って」自分で街を回る楽しさを感じてほしい。。

真冬の自転車乗りを応援するパブも Photo © Michiko Ono Amsden

真冬の自転車乗りを応援するパブも
Photo © Michiko Ono Amsden

World Naked Bike Ride
ウェブ:pdxwnbr.org


Hopworks BikeBar
3947 N Williams Ave., Portland, OR
電話:503-287-6258
ウェブ:hopworksbeer.com

3947 N Williams Ave, Portland, OR

Velo Cult Bike Shop
1969 NE 42nd Ave., Portland, OR
電話:503-922-2012
ウェブ:velocult.com

1969 NE 42nd Ave., Portland, OR

Lucky Labrador Brewing Pub
915 SE Hawthorne Blvd., Portland, OR
電話:503-236-3555
ウェブ:luckylab.com

915 SE Hawthorne Blvd., Portland, OR

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

注目の記事

  1.  2月の2週間、日本に一時帰国した。目的は長男ノアが日本で通う学校の保護者向け就職説明会に参...
  2. SHISEIDO 資生堂が、Bio-Performanceからの2つの商品を含む2016年秋の新作...
  3. クロアチア共和国の首都、ザグレブの空港に降りたのは、もう夜遅い時間だった。大雨の中、3時間ドライブして、小さな村に着いた。クロアチア東部に広がるスラボニア地方、ポーツェガという村だ。道中は真っ暗闇だった。
  4.  8月22日、ニナが秋から通うハイスクールのレジストレーションが終了した。レジストレーション...
  5.   Tortuguero トートゥゲロ  首都サンホセから北東へ、車で1時間半。小...

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る