シリーズアメリカ再発見㊱
Old is New… フロリダ デイトナビーチ

文&写真/佐藤美玲 (Text and photos by Mirei Sato)

フロリダのオーランドから、北東へ約1時間半。モータースポーツの聖地として世界に名高い、デイトナビーチ。長く続く海岸線で、大西洋の海とかたい砂が織り成す、虹色のマジックに浸った。

美しい「ニュー・スマーナ・ビーチ」 Photo©Mirei Sato

美しい「ニュー・スマーナ・ビーチ」
Photo © Mirei Sato

Daytona International Speedway / デイトナ・インターナショナル・スピードウエー

 世界中のモータ―スポーツファンがあこがれる「デイトナ・インターナショナル・スピードウエー」。ここで毎年2月に行われるレース「デイトナ500」は、NASCAR(全米自動車競争協会)のシーズンオープナーとして、名声が高い。
 全米の全州から、20万人以上のファンが詰めかける。レースカーの爆音、観客が踏みならす足音と歓声。トラックに立って目をつぶると、それらが聞こえてきそうだ。
コースの特徴は、「バンキング」と呼ばれるコーナーの壁。最大で31度の傾斜、3階建てのビルの高さに相当する。これがレースを難しくし、幾つもの「デイトナ神話」を生んできた。
 そもそも、カーレースとそれを観戦する文化は、デイトナの海で生まれた。このあたりの海岸は、砂質がかたく、締まっている。快適な気候も手伝って、20世紀初頭から自然と浜辺にレーサーが集まるようになったという。
 ビーチ上のコースを砂煙をあげて走る車と、簡素な柵を隔てて見物する人たち。そんな光景が、モノクロ写真に残っている。
 1959年にオープンしたスピードウエーは、今、大規模改装工事の真っ最中だ。「Daytona Rising」という名称のプロジェクトで、来年1月にすべてが完成する。古い歴史を大切にしつつ、若いファンを引きつけるべく、快適でハイテクな施設に生まれ変わるという。
 モータ―スポーツは、ほかのメジャースポーツと違って、後ろの方、上の階へ行けば行くほど「よい席」になる。最前列ではコースの半分しか見えないが、最上階に行けば1周の走りすべてが見えるからだ。
 そんなわけで熱心なファンとVIPは最上階に陣取るが、今まではエレベーターもエスカレーターもほとんどなかった。NASCARのファンの平均年齢は、けっこう高い。ビールを買うたびに急傾斜の階段を上り下りするのは、ラクではなかっただろう。
 新しい施設には、エレベーターとエスカレーターはもちろん、Wi-Fi、アームホルダー付きシートも完備されるそうだ。


1

2 3 4 5 6

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る