シリーズアメリカ再発見㊴
中西部 飲み旅!
ミルウォーキー編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

ミルウォーキー「Sobelman's」の名物、超特大「Chicken Fried Bloody Beast」 Photo © Mirei Sato

ミルウォーキー「Sobelman’s」の名物、超特大「Chicken Fried Bloody Beast」
Photo © Mirei Sato

出たっ! 超特大メアリー
フライドチキンまるごと1羽 

 「YEEーHAW!」
 周りから、一斉にカウボーイのような歓声がわいた。
 産まれたばかりの赤ちゃんと初めて対面するような気持ちで、待つ私。ウェイトレスが、ベイビーを抱えて歩いてきた。
 赤ちゃんの名前は、「Bloody Beast」(血だらけのけもの)。アメリカで最も有名で、おそらく最も巨大な「ブラッディー・メアリー」だ。
 超特大ジャグになみなみと注がれたブラッディー・メアリー。その上に、フライドチキンが1羽まるごと、覆いかぶさっている。
 ミニ・スライダーとはいうものの、しっかりしたハンバーガーが2個、串刺しに。ベーコンで巻いたハラペーニョ・チーズボール、シュリンプ、ソーセージ、チーズ、ピクルス、芽キャベツ、セロリ、なぜかネギまで。
 「ゲテモノ」とあなどってはいけない。隅から隅まで、美味しいのだ。
 

 
 この種の「でっかさ勝負」系は、たいてい、目に満足、味はまあまあ、ということが多い。ブラッディー・メアリーにハンバーガーやピザを刺す、というアイデアは、この店に限ったことではないけれど、たまに食べ物がアルコールに漬かってビショッとしているのは残念だ。
 しかし、この店「ソーベルマンズ・パブ・アンド・グリル」(Sobelman’s Pub & Grill)は違う。フライドチキンの皮はクリスピーで、肉はジューシーだ。
 カクテルを飲むためには、解体作業が必要だ。1本ずつ串をはずしていく。飾り方、見せ方、刺し方まで、よく考えられた立派な芸術作品だと実感する。
 正式名称は「チキン・フライド・ブラッディー・ビースト」で、45ドル。2014年にデビューした。売上の一部は、地元のチャリティー団体に寄付される。チキンを調理するのに30分はかかるので、事前に電話で予約注文する。
 店があるのは、ミルウォーキーの中心部、マーケット大学キャンパスに近い倉庫街だ。ブラッディー・メアリーはもちろんだが、美味しいバーガーが食べられる店として人気がある。
 ダダダッ、ダダダッとエンジン音をたてて、ハーレー乗りがひっきりなしにやってくる。ミルウォーキーには、ハーレーダビッドソンの本社と博物館がある。うまいもの好きのバイカーたちが、聖地巡礼めぐりのついでに、ここに立ち寄るのだ。
 「チーム・ソーベルマン」のロゴ入りTシャツを着た常連が、店員でもないのに店員よりも大きな顔をして「接客」。私のような新参者、観光客を見かけるや、近寄ってきて歓談が始まる。
 私を「接待」してくれたおじさんたちは、ミルウォーキーの市長がソーベルマンズに来たときの話や、ソーベルマンズがライバル店と一緒にTVに出演し、「ブラッディー・メアリー対決」でなんと「疑惑の負け判定」を食らったときの話まで、面白おかしく教えてくれた。
 
VISITMilwaukeeが提供している動画はこちら

 


 

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