第49回 世界大学ランキング:東大、アジアの首位から転落

文/松本輝彦(Text by Teruhiko Matsumoto)

Photo © Butz.2013

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 9月30日に発表された世界の大学ランキングは、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」によるもので、研究内容や論文の引用回数、それに国際化の度合いなど13の指標を基に、毎年発表されているものです。
 今年のランキング1位は5年連続で米カリフォルニア工科大学、英オックスフォード大学、米スタンフォード大学と続き、上位10校中9校を米英の大学が占めました。
 アジアの大学のランキングでは、東京大学が去年の23位から43位と大きく順位を下げて、シンガポール国立大学(昨年25位から今年26位)と中国の北京大学(48位から42位)に抜かれ、5年ぶりにアジアの首位から転落しました。また、京都大学も、59位から88位と大きく順位を下げました。

文科省に激震

 文部科学省(以下文科省)は大学改革の一貫として大学のグローバル化を進めるため、昨年9月に「スーパーグローバル大学」を37校選定しました。特に、その中の13大学を世界の大学「トップ100」入りを目指す「トップ型」に認定し、各大学に10年間で4億円を超える支援を開始しました。
 しかし、今回のランキングで「トップ型」13大学の順位を見てみると、「トップ100」に入ったのは東大と京大の2大学のみで、東北大学と東京工業大学が201~250位のグループに、大阪大学が251~300位となりました。私学の名門といわれる慶應義塾大学(501~600位)、早稲田大学(601~800位)も極めて低い評価しか与えられませんでした。
 今回のランキングは、文科省が最も注目しているもので、「教育(30%)」「研究(30%)」「論文引用(30%)」「国際(7.5%)」「産学連携(2.5%)」の5つを評価基準にしています。文科省は「留学生や外国人教員の比率が低いので国際的な評価が低い」とし、留学生の募集拡大のために英語での授業の充実などを進めています。
 しかし、大学キャンパスの国際化を進めてもTHEの評価基準では全体評価の7.5%にしかすぎません。ランキングの上位をねらうならば、30%を占める「論文引用」の低下傾向を逆転することです。文科省は、目の前の「国際」と「論文引用」を向上させる一挙両得をねらって、「新たに千人以上の外国人教員が必要」としていますが、優秀な教員や大学院生の世界の大学との奪い合いに苦戦しているのが現状です。

日米の大学、どちらに進学?

 日本の大学の低落傾向が続く半面、米大学の世界的評価が高くなってきています。THEのトップ10には私立の大学がならんでいますが、20位・30位と見ていくと、州立大学(特に西海岸のカリフォルニア大学の各校)の健闘が目立ち、米大学全体の教育・研究レベルの高さ、総合的な教育力がデータにはっきりと表れています。
 これまでに述べてきた日米の大学教育の現状を考えて、現在全米で教育を受けている日本人の子どもの進学先として、日米どちらの大学を選ぶべきでしょうか。もちろん、大学進学に当たっては、「教育」だけではなく、卒業後の生活・就職など幅広いことがらについての判断が必要です。高校生自身や家族の状況も大きな判断基準になります。しかし、グローバル化・多様化がさらに急激に進むお子さんの時代、20・30年後の社会を生き抜くためには、大学での真剣な勉学が必要ではないでしょうか。高額になってきた大学の教育費に見合う教育や研究レベルを提供する大学を選ぶことも大きな選択だと信じます。

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松本輝彦 (Teruhiko Matsumoto)

松本輝彦 (Teruhiko Matsumoto)

ライタープロフィール

海外・帰国子女教育カウンセラー。北米の日本人の子どもの教育サポートに30年以上携わる。最近は、北米の保護者向けの教育講演会・情報誌・インターネットを通じての教育情報の発信や教育相談を中心に活動。また、北米の子どもたちが現地校で身につけている「宝(アカデミックスキル)」の教育を日本の学校で広げるために、日本の中学・高校・大学の授業や講演会も活発に行っている。

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