第7回 「クラフトビールって言いません」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

ビール天国のツアーに日本人も参加してほしい

 
 大手ビールメーカーであるキリンビールが代官山にブルワリー(醸造所)をオープンするなど、小規模生産のクラフトビールがちょっとしたブームだ。ポートランドは、そのクラフトビールの天国。連載第2回でも少し触れたが、市内だけで64ものブルワリーがあり、その数は世界一。自らBeervana(ビアバーナ:ビールと涅槃の地ニルバーナを足した造語)と称してしまうほどだ。
 そこで、オレゴン州のビール、ワイン、スピリッツ、シードルについてのブログ『オ州酒ブログ』を発信し続けて7年、現在、「ブルヴァナー(BREWVANA)」というビールツアーとコラボして、日本語でビールツアーの案内をされているレッド・ギレン(Red Gillen)さんにポートランドのビール事情についてうかがった。
 「ブルヴァナー」は、元々はアメリカ人向けのツアーだが、レッドさんは日本人にも参加してもらいたいと、2011年から日本語ガイドとして一緒に回るツアーをスタートした。ウォーキング・ツアー(月〜金曜)とバス・ツアー(木〜日曜)の2通りで、だいたい3時間から4時間でブルワリーおよびパブを3、4カ所巡る。個人では見つけにくい小規模でこだわりのあるビール造りをしている所、ちょっと遠くて行きにくい所などもピックアップ。解説付きで試飲をし、途中でちょっとしたおつまみも楽しめる。シーズンの夏には、日本語ツアーも週に2、3回はあり、日本人向けのオリジナルツアーを催行することもあるという。

レッドさん(右端)は、今やビールツアーの他にもコーヒー、レストラン・フードカートなどのツアーも日本人向けに多数案内している Photo © Michiko Ono Amsden

レッドさん(右端)は、今やビールツアーの他にもコーヒー、レストラン・フードカートなどのツアーも日本人向けに多数案内している
Photo © Michiko Ono Amsden


 

香り高いエールは基本 ブルワリーの個性を楽しむ

 
 クラフトビールは、アメリカのブルワーズ・アソシエーションの定義では、小規模であること(年間生産量600万バレル以下)、独立していること、小規模であることとなっている。ポートランドは冷涼な気候で、よいビールを造るための素材である水、二条大麦、ホップ、酵母が揃い、1984年から「ブリッジポート」「ウィドメア」「マクメナミンズ」という3つのブルワリーがおいしいクラフトビールを造ってブームとなって以来、どんどんブルワリーが増えた。レッドさんは「ポートランドでビールと言えば、クラフトビールであることが当たり前なのでいちいちそうだと名乗らない」という。そして「最近のトレンドとしてサワービールや度数が低めのIPA(インディアン・ペール・エール)などが出る一方、ジンやウィスキーの樽で熟成させた度数の高いものも出ていて、主にこちらは冬向け。季節限定ビールが多い所やチーズなどとのペアリングを提案している所など個性的なブルワリーを楽しめるのがポートランドの魅力」だそう。
 ポートランドのビールは、エールと呼ばれる様々な種類のよい香りがするビール。ツアー参加の日本人の中には「ポートランドに来て初めてビールに香りがあると知った」という人もいるという。私も最初にポートランドで飲んだビールの香り高さは衝撃的だった。出来立てのビールをブルワリーで飲む魅力、未体験の人には、ぜひポートランドに来て、その味を知って欲しい。
  

コモンズ・ブルワリーにて。ストロング・ダーク・ラガーからベルギースタイルまでいろんな種類ビールに果実のサイダー(お酒です)なども出す Photo © Michiko Ono Amsden

コモンズ・ブルワリーにて。ストロング・ダーク・ラガーからベルギースタイルまでいろんな種類ビールに果実のサイダー(お酒です)なども出す
Photo © Michiko Ono Amsden


 

ブルヴァナー
(BREWVANA)
www.experiencebrewvana.com/japanese-home/
(日本語)


オ州酒ブログ
www.oshuushu.com


コモンズ・ブルワリー
(COMMONS BREWERY)
住所:630 SE Belmont St., Portland, OR 97214
www.commonsbrewery.com

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

注目の記事

  1. クロアチア共和国の首都、ザグレブの空港に降りたのは、もう夜遅い時間だった。大雨の中、3時間ドライブして、小さな村に着いた。クロアチア東部に広がるスラボニア地方、ポーツェガという村だ。道中は真っ暗闇だった。
  2.  プロレスラーから俳優に転身したデイヴ・バウティスタ。ザ・ロックことドウェイン・ジョ...
  3. ホスピタリティ溢れる多人種社会 人口急増中でポテンシャルも高い 在ヒューストン日本国...
  4. 皆既日食のベスト観測ポイント アメリカにいてお休みの旅先を検討するのに、なかな...
  5.  昨年、日本で公開された時から待ち望んでいた映画がある。18歳で嫁いだ主人公すずの戦前と戦時...

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る