仕事してても、ホームレス・・・
シリコンバレー、家賃払えない

IT企業が集中するシリコンバレー周辺は、家賃も高騰

IT企業が集中するシリコンバレー周辺は、家賃も高騰

 カリフォルニアのシリコンバレーでは、フルタイムで働いているにもかかわらず、家賃が払えずにホームレスになる人が増えている。その中には、ハイテク企業に勤める高給取りの社員を、サンフランシスコからシリコンバレーへ送迎する通勤バスの運転手たちもいる。
 9月21日付サンフランシスコ・クロニクルの記事(“Tech bus drivers forced to live in cars to make ends meet”)が伝えた。
 スコット・ピーブルスさんは、アップルの従業員向け通勤バスの運転手だ。この2カ月ほど、ダッジ・キャラバンの後部座席を平らにして、エアマットレスを敷いてそこで寝泊まりしている。毎朝、クリーニングに出したユニフォームを着て、公衆トイレで身支度をし、フリーモントからサニーベールのオフィスまで運転するという日々を送る。
 シリコンバレーでは、この10年ほどでIT系の職が急増したが、同時に家賃も高騰した。ワンベッドルームのアパートの平均的な月額家賃は、サンノゼで2186ドル、オークランドで2469ドル、サンフランシスコでは3361ドルにもなる。
 これに対して、IT企業の通勤バスの運転手の給与は、月2900ドルからだ。これでは、職場の近くでアパートを借りるのは不可能だ。
 ピーブルスさんは母親の世話などで出費がかさみ、現在2万ドルのクレジットカードの負債がある。誰かとアパートの部屋を共有しても構わないと思っているが、年齢的な理由もあって、なかなかルームメートが見つからないという。
 2015年の調査によれば、アップル、グーグル、ヤフーなどが社屋を構えるサンタクララ郡には、推定で6500人のホームレスがいる。そのうち23%が、車で寝泊まりしている。2013年には、車中で生活するホームレスの比率は16%だった。また、2015年の調査では、調査対象となったホームレス900人のうち約8%の人は、月収1500ドル以上を稼いでいた。
 彼らは、スターバックスでスマートフォンを充電してコーヒーを飲み、スポーツジムでシャワーを浴び、コインランドリーで洗濯をする。夜になると目立たないように駐車場に車を停め、睡眠をとる。
 今年初め、アップルは、朝と夕方の両シフトで働くピーブルスさんのような運転手たちの基本給を引き上げ、ボーナスの支給も始めた。しかし、時給が30ドルになっても、ピーブルスさんは、職場の近くに住まいを見つけることはできていない。

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