「飼い犬に撃たれる」事件が続出
銃社会もここまできたか!

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 10月末、「トリガー」という名のチョコレート・ラブラドールが、狩猟旅行中にインディアナ在住の女性の足を誤って撃つ、という事件が報じられた。
 10月27日付のワシントン・ポストの記事(“In the past five years, at least six Americans have been shot by dogs”)によると、女性は、弾を込めたショットガンの安全装置を外した状態で、地面に置いていた。トリガーがその銃を踏んだために、引き金(トリガー)が引かれた状態となり、銃が暴発。女性の左足を撃ち抜いたという。
 2011年以降、この事件と同じように、自分が飼う犬によって撃たれた例はこの女性で6件目。2004年から数えると計10件となる。
 これはあくまで最低限の数字だ。犬に撃たれても病院で手当てを受けていない、あるいは地元メディアで報じられていなければ、世間に知られることはないからだ。
 アメリカだけではなく、人間と銃、そして犬の数が多い国では、似たような事件はよく起きている。たとえば2012年には、フランス人のハンターが、ふざけて飛びかかってきた犬のせいで銃が暴発し、手を失った。2010年にはニュージーランドの男性が犬に撃たれた。
 アメリカでは、銃を所持する人の数が、ほかの国をはるかに上回っている。ある見積もりによれば、世界の個人所有の銃の約半数が、アメリカ人によるものだ。当然ながら、犬による「誤射」も多くなる。
 事故の多くは狩猟の現場で起きている。2013年、ミネソタのハンターの飼い犬がボートに飛び乗った拍子に銃が暴発し、銃弾がハンターの足に命中した。11年には、ユタのハンターがボートに積んでいたショットガンの上に、犬が飛び乗り暴発し、弾がハンターの尻に当たった。その2週間後にはフロリダで、狩猟に行く途中、車に積んだライフルの上にブルドッグが飛び乗り、銃弾が飼い主に当たるという悲劇が起きた。
 フロリダでは13年に、トラックに乗っている最中に、犬が38口径のピストルで飼い主を撃った。10年にも別の犬が地面に置いてあった38口径のピストルに飛び乗り、弾が酔っぱらっていた飼い主の手のひらを撃ち抜いた。
 04年には、「引き取り手が見つからない」という理由で、生後3カ月のシェパードミックスとその兄弟たちを射殺しようとしていた男性が、当の犬によって手首を撃たれるという皮肉な事件も。
 ただ、犬による誤射事件で死者が出ることはめったにない。唯一の例外は、2008年にテキサスで、犬が飛び乗ったためにトラックに積んでいた銃が暴発し、ハンターの太ももに当たった事件だろう。ハンターは出血多量のため死亡した。
 一方、猫によって飼い主が撃たれたという事件は、2005年に1件あっただけだという。

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