「The Revenant」レオ、オスカーへのダメ押し? (12月25日公開)

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, 2015 Regency Entertainment (USA), Inc. and Monarchy Enterprises S.a.r.l.

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 アカデミー賞に4度もノミネートされながら、いまだにオスカーが手に入らないレオナルド・ディカプリオが、昨年度の作品賞、監督賞、脚本賞の3つを一気に手に入れたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥとタッグを組み、渾身の演技を見せて本作でダメ押しをする。

 1823年のアメリカで、先住民との間にできた愛息子を連れて毛皮獲りのガイドをしていたヒューは、熊に襲われ、重傷を負う。仲間の一人、ジョンの陰謀により息子を殺され、半分生き埋めの状態で置き去りにされた彼は、復讐を誓い、ジョンの後を追うのだが……。

 雪深い極寒の森林地帯を重傷の身でサバイバルするヒューの姿を観ていると、こちらまで凍えてきそうだった。しかも、ディカプリオの迫真の演技とイニャリトゥ監督の演出で、体の傷の痛みだけでなく、心の傷の痛みもスクリーンから伝わり、精神的にかなり追い詰められる。体力と気力があるときに鑑賞したい作品だ。

 広大なアメリカの大自然を美しく切り取ったのは、イニャリトゥ監督作品で2度のオスカー受賞経験を持つ撮影監督エマニュエル・ルベツキ。そして、同じくオスカー受賞者で日本が誇る坂本龍一が音楽を担当している。映像、音楽ともに、ヒューの心情を情緒豊かに表現していた。

 ディカプリオの熱演に水を差すのは、近年、メキメキと頭角を現している演技派トム・ハーディ。クセのある俳優だけに、本作のようなクセのある役を演らせたら、場面をさらわずにはいられない。ただ、その辺はディカプリオも計算済みのようで、彼との実際の共演場面はあまりないので、食われることはなかった。

 「Star Wars: The Force Awaken」など、最近のハリウッド映画に出まくりのドーナル・グリーソンの好演も印象的だったが、「ナルニア国物語 / 第3章:アスラン王と魔法の島」のユースチス役で知られる若手ウィル・ポールターの存在感も強烈だった。

© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, 2015 Regency Entertainment (USA), Inc. and Monarchy Enterprises S.a.r.l.

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はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

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