第11回 「ワン!だふる」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

 ポートランドが自らをBeervana(ビアバーナ:ビールと涅槃の地ニルバーナを足した造語)と称してしまうクラフトビール天国であることは、第7回でも触れた。市内だけで64ものブルワリーがあり、そのほとんどがパブを併設していて、その場で出来たてのビールを飲むことができる。そんなパブの屋外にあるポーチで、ペットのワンちゃんがビールを楽しむ飼い主のお膝元にちょこんと座っていることがある。ポートランドには、そんなドッグフレンドリーなブルワリーがそこここにある。
 
 代表格は、その名も「ラッキー・ラブラドール・ブリューイング・カンパニー」。市内3カ所にある系列のブルワリーには、ワンちゃんと一緒にゆっくりできるポーチがある。年に1回「ドッグトーバーフェスト(オクトーバーフェストのもじり)」という、愛犬を洗って、その間に飼い主にはビールや音楽を楽しんでもらうというチャリティーイベントを開催している。2015年には330匹以上もの犬を洗って、1万9千ドルを血液バンクに寄付したという。
 
 また市内に多数のブルワリーやレストランを経営する「マクメナミンズ」も市内だけで29カ所のペットフレンドリー・パブを開いている。多くは店舗の外の座席の横でというような条件付きがほとんどだが、中には外だけでなく内もワンちゃんOKな店もある。

内装にもアイコンのワンちゃん「ラッキー・ラブラドール・ブリューイング・カンパニー」 Photo © Michiko Ono Amsden

内装にもアイコンのワンちゃん「ラッキー・ラブラドール・ブリューイング・カンパニー」
Photo © Michiko Ono Amsden


 

公園もホテルも
ワンちゃん天国の街

 ポートランドは、街中に緑豊かな公園、トレイルが本当に多いので、犬の散歩の場所には事欠かない。それだけにマナーも大切。犬が催して出したものは、専用のビニール袋に入れて持ち帰るが、そのディスペンサーなるものが商品としてあるぐらいだ。広々とした公園を走り回るワンちゃんは幸せそう。
 
 また、市内にも郊外にも多数のペットフレンドリーホテルがある。一晩、10ドルから50ドル程度、別途ペット料金がかかるところが多いが、犬用のベッド、食事用ボウル、おもちゃなどをサービスしてくれたりも。市内の「ホテル・デラックス」では、ペットの栄養を考えた食事メニューやマッサージも提供している。我が家は、お正月に郊外のシーサイドにあるペットフレンドリーホテルに犬を連れて泊まりにいった。ペット料金は20ドルで、外には簡単な足の洗い場があり、ケージを室内に持ち込むこともできた。
 
 ポートランドは、パブに、公園に、そしてホテルに。ワンちゃんと一緒に楽しめる“ワン!だふる”な街なのだ。

シーサイドのビーチには、宿泊客と共にワンちゃんも集合 Photo © Michiko Ono Amsden

シーサイドのビーチには、宿泊客と共にワンちゃんも集合
Photo © Michiko Ono Amsden

 
ラッキー・ラブラドール・ブリューイング・カンパニー
http://luckylab.com
3店舗中ドッグトーバーフェストが行なわれるのは
ラッキー・ラブラドール・ブリューパブ
Lucky Labrador Brew Pub
住所:915 SE Hawthorne Blvd, Portland, OR 97214
電話:503-236-3555


マクメナミンズ   Macmenamins
ペットフレンドリー・パブ一覧
http://www.mcmenamins.com/PetFriendly


ホテル・デラックス   Hotel Deluxe
住所:729 SW 15th Ave, Portland, OR 97205
電話:503-219-2094
ウェブサイト:http://www.hoteldeluxeportland.com

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小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

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