第140回 犬が他人に噛み付いた場合

文/安岡忠展(Tadanobu Yasuoka)

 The Insurance Information Instituteによりますと、2015年度のアメリカでの家屋保険の賠償責任のクレーム件数のうち、3分の1が犬の噛み付きによるクレームでした。クレームによる支払い額は5億7千万ドル以上だそうです。

 2015年の犬の噛み付きによるクレーム件数は1万5352件あり、2014年度に比べると件数は7%ほど減少はしているものの、1件にかかる賠償額は16%も上がっているようです。2014年度の1件あたりの平均額は3万2072ドルだったのに対し、2015年度は3万7214ドルと5000ドル以上も上がったようです。

 これらのデータは保険を使ったクレームのもので、実際には年間に約450万人が犬に噛まれ、そのうち20%の人が治療を行っていると言われています。噛み付くだけでなく、子供・お年寄り・自転車に乗っている人を転倒させてしまって怪我を負わせるケースも多くあります。いくら愛犬に悪気がなかったとしても、相手が怪我をしてしまった場合には賠償責任が生じます。

 ペットによるクレームに対応する保険をお持ちでしょうか? 家やコンドを所有している人はホームオーナーズ保険のPersonal Liabilityという保険でカバーされます。アパートや家をレントしている人は、レンターズ保険に加入すれば同様の保険が含まれています。補償額のリミットは10万ドルから50万ドルぐらいまであります。リミットを高くしても年間数10ドルほどの差額ですので、なるべく高いリミットで加入することをおすすめします。レンターズ保険は年間で200ドル前後から加入できますので、まだ加入していない人は是非検討してみてください。犬の種類によっては保険加入が制限される場合もありますので、加入時に忘れずに確認をするようにしてください。

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安岡忠展 (Tadanobu Yasuoka)

ライタープロフィール

全ての保険を取り扱う総合保険代理店「ダイワ保険代理店」代表。顧客の保険代理人として「お客様にとってベストなプラン」を提供する。目標は「全ての保険を取り扱うことでお客様のニーズを把握し、生涯のパートナーとしてお付き合いいただくこと」。

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