「海街diary」上陸!!(7月8日公開)

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

 

© Sony Pictures Classics

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 漫画家の吉田秋生の同名原作を各国際映画祭を賑わしてきた是枝裕和が映画化を熱望して作り上げた本作「Our Little Sister」(原題「海街diary」)は、爽やかな感動ストーリー。

 鎌倉の実家に暮らす三姉妹の幸(さち)、佳乃(よしの)、千佳(ちか)の元に、愛人を作り、家を出た父親の訃報が届く。看護師として働く長女、幸は、仕事の都合で出席が難しいため、銀行勤務の次女の佳乃とスポーツ店に勤める三女の千佳に葬儀に出席するよう頼む。山形に着いた2人の前に夜勤明けの幸が表れ、三姉妹が揃ったのと前後して、父と亡き再婚相手との間に娘、すずがいたことが分かる。中学1年生ながらしっかりした彼女は、父親の再々婚相手と一緒に暮らしていた。そんなすずを見て、幸は「鎌倉で一緒に暮らそう」と持ちかける。自分たちの家庭を壊した人の娘ではあるものの、すでに大人として世間を知り、さまざまな恋愛を経験している三姉妹は、半分血の繋がったすずを温かく迎える。また、すずから父親についての話を聞くのを楽しみにもする。やがて、四姉妹は、少しずつ姉妹としての絆を築き、距離を縮めていくのだった……。

© Sony Pictures Classics

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 日本のドラマや映画を観る度に、映像のチープさや演技・演出のマズさが目に付き、「やっぱり邦画を観るのは無理〜」と思う筆者だが、本作は違った。これまでも是枝作品は、映像美と感情のひだを見事に切り取る手腕で筆者をうならせてきたが、本作もしかりだ。

 鎌倉の実家や山形の自然、桜並木など、叙情感溢れる映像に魅了される。そして、姉妹の姉妹らしい会話や関係もとてもリアルだ。筆者自身、三姉妹の真ん中なので、姉妹関係というのを実体験しているが、そんな筆者がうなるほど現実味のある姉妹っぷりだった。原作を未読なので何とも言えないが、恐らく原作に描かれた姉妹関係の微妙なニュアンスを是枝は理解し、昇華したと思われる。また、それをナチュラルに表現した四姉妹役の女優陣の演技も絶妙だった。

 そこかしこにある小さな伏線も小気味良く、「やっぱり邦画を観るのは無理〜」という言葉を返上した作品だった。

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はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

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