シリーズアメリカ再発見㊽
地球は回っている
ハワイ島マウナケアの日の出

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

ハレマウマウ火口から立ちのぼる噴煙Photo @ Mirei Sato

ハレマウマウ火口から立ちのぼる噴煙
Photo @ Mirei Sato

仮眠して、昼過ぎから火山を見に出かけた。ハワイ島には、マウナロアとキラウエアという、世界でも最も活発な火山が2つある。平べったいマウナロアは、30年ごとに噴火すると言われたまま、31年が過ぎた。

もともと、海底噴火でできたのがハワイ島だ。7000万年続く火山活動が、日々、この島の地形をつくり変えている。

ハワイ火山国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)へ行くと、「生きた島」を実感できる。ハレマウマウ火口からは、絶えず噴煙が立ちのぼり、夜に高いところから見ると、真っ赤に燃えている。

彫刻のような溶岩。いつまで眺めていても飽きないPhoto @ Mirei Sato

彫刻のような溶岩。いつまで眺めていても飽きない
Photo @ Mirei Sato

キラウエア火山のビジターセンターにある「Thomas A. Jaggar Museum」Photo @ Mirei Sato

キラウエア火山のビジターセンターにある
「Thomas A. Jaggar Museum」
Photo @ Mirei Sato

 古い溶岩の大地の上に、新しい溶岩が幾層にもわたって流れ、積もっている。ゴツゴツした岩の下にも、のぞけば必ず植物が芽を出し、花も咲いている。生命の力はすごい。

ハワイの火山の女神ペレは、競争を嫌い、負けを認めない性格らしい。ライバルになりそうな美貌の女性や、思いどおりにならない男性に向けて、溶岩を流し、岩にしてしまったとか、木に変えてしまったとか。ナオパカ、オヒア、レフア…。ハワイ島に生息する草木や花には、そんな伝説がたくさんある。ペレは、破壊者でもあり創造者でもある。

溶岩トンネル「Lava Tube」を歩いて通るPhoto @ Mirei Sato

溶岩トンネル「Lava Tube」を歩いて通る
Photo @ Mirei Sato

 ここ数年おとなしかったキラウエア火山は、今年の夏から活発になってきた。海に赤い溶岩がドロドロと流れこむハワイ島名物の光景も、しばらく途絶えていたが、また復活しているという。ペレは今日、だれに嫉妬しているのだろう。

ごつごつした溶岩のすき間から、しぶとく草花が伸びるPhoto @ Mirei Sato

ごつごつした溶岩のすき間から、しぶとく草花が伸びる
Photo @ Mirei Sato

取材協力/Special thanks to Mauna Lani Bay Hotel & Bungalows, Delta Air Lines, and ハワイ島マサシのネイチャースクール

ハワイ島マサシのネイチャースクール
808-937-5555(日本語)
www.minshuku.us

ハワイ島の自然をいつくしみ、「魂を揺さぶる」体験を提供する日系のツアー会社。経験豊富な日本語のガイドがついて、主要なホテルから送迎してくれる。
「世界遺産キラウエア火山と星空観測ツアー」「マウナケア山頂日の出と星空観測ツアー」「ドルフィンスイムツアー」などが人気がある。
新年恒例の「マウナケア山頂から拝む2017年元旦初日の出ご来光デラックスツアー」は現在、参加者を募集中。ヒロ大神宮での初詣もセットになっている。早めの申し込みが必要だ。

Mauna Lani Bay Hotel & Bungalows
マウナラニ ベイ ホテル&バンガローズ

808-885-6622
reservations@maunalani.com
www.maunalani.com
www.maunalani.com/jp(日本語)
Photo @ Mirei Sato

Photo @ Mirei Sato

ハワイ島の北西、リゾート地帯のコハラ・コーストにある。マウナラニは、「天国に手が届く丘」という意味。敷地には、古代ハワイの遺跡が多く残り、パワースポット目当てに訪れる人も多い。
もとはハワイ王族の土地で、ハリウッドのスターや地元の名士が集まる保養地だった。1972年に日本の東急が土地を取得。ゴルフ場とホテル、コンドミニアムなどを備えたリゾートとして、1983年に開業した。日本語を話すスタッフが常駐している。
2013年に改装を終えたばかり。ハワイ島ヒロを拠点にする人気デザイナー、シグ・ゼーン(Sig Zane)のデザインの室内インテリアが好評だ。

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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