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日本の年金について「家族に関わる年金~遺族年金」
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2016年12月28日
一般に年金とは老後に受給する「老齢年金」を意味します。一方、「遺族年金」はまだ働いている年金加入者(被保険者)および年金受給者本人が死亡した場合に、残された遺族に支給される年金です。まず基本事項を説明します。
支給要件
遺族年金は、下記の2つの場合に支給されます。
a)年金保険料を支払っている60歳以前の人(年金被保険者)が死亡した場合
b)60歳以降老齢年金を受給している人、または受給権を得ている人が死亡した場合
遺族年金の種類
遺族年金は、下記の2つの種類があります。
1)遺族基礎年金
2)遺族厚生年金(遺族共済年金)
支給要件を満たしていれば、2種類ともの遺族年金を受給できます。
遺族の範囲
1)遺族基礎年金:配偶者と子が遺族
2)遺族厚生年金:配偶者、子、父母、孫、祖父母(優先順位あり)
2)において、夫・父母・祖父母は55歳以上に限定されます。
またいずれも本人死亡時において、その者によって生計を維持していたこと、高所得者でないこと、が求められます。
支給額
1)遺族基礎年金:年間約78万円
2)遺族厚生年金:死亡者が受給していた、もしくは受給する予定だった老齢厚生年金の4分の3に相当する金額(一部加算額あり)
具体的な例をみていきましょう。
冒頭支給要件のうち「a)年金保険料を支払っている60歳以前の人」には、主に現役世代として日本の年金保険料を納付している日系企業の駐在員が該当します。
また「b)60歳以降年金受給者(受給予定者)」については昔日本でサラリーマンをしていた厚生年金加入者で、その後米国に移住したa)以外の方が該当します(国籍は問いません)。
a)駐在員が死亡した場合は勤務先企業の福利厚生担当者が代わり遺族年金の申請手続を行なってくれますが、b)米国在住者が死亡した場合は遺族自身で行なわなければなりません。したがって、普段から家族で年金に関する情報を共有しておく必要があります。「自分が死んだ時の話なんて縁起でもない」などと言わず、残された家族を守るためにも早いうちに家族へ年金について伝えましょう。実際年金加入者死亡後、本来は受給できたのに遺族年金のことについて「知らなかった」「手続がわからず諦めた」という理由で受給できないケースは少なくないのです。
もし既に配偶者が亡くなっている方で、自分が現在日本の遺族年金を受給していなくても、配偶者に年金受給権があれば遺族年金を受給できる可能性があります。以下の点と、配偶者の年金記録を調べてみましょう。
✔ 配偶者は年金を受給していなかったが、昔日本でサラリーマンをしていた
具体的な調査方法についてわからない方は、日本の年金事務所か専門業者へお問合せ下さい。 特に残された妻が日本語を理解しない場合など、自分で調べようにも調べられないので、周囲の知人からアドバイスしてあげましょう。
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