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知っておきたい基本情報
アメリカの保険
- 2016年12月1日
- 2016年12月号掲載
4年目迎えるオバマケアとは?
健康保険
日本では健康保険証さえあれば、原則的にはどこの病院でも診てもらえる。しかし、ここアメリカではその原則が異なる。アメリカの健康保険は民間企業が提供している。保険を適用させるためには、利用者は加入している保険会社のネットワーク内の医療機関で診断を受けることになる。
健康保険のタイプとしてよく知られているのがHMOとPPOだ。HMOにはPrimary Care Physicianという主治医が存在し、そのドクターに最初に診断してもらった後に専門医の紹介を受ける。一方のPPOはネットワーク内のドクターであれば主治医を通さずに最初から専門医を訪ねることができる。PPOの方が時間をかけずに専門医にかかることができるが、保険料の面では一般的にはHMOより高いケースが多い。
さらにEPOというタイプの保険について説明してくれたのは、保険代理店のほけんの110番!! の北米マネージャー、有鹿嘉浩さんだ。「カリフォルニアではPPOと同様に直接専門医にかかることができるのがEPOです。ただし、ネットワーク外の医者であっても一部保険がカバーされるPPOとは異なり、EPOではネットワーク内の医者のみがカバーの対象となります。EPOは、2015年にカリフォルニアでブルークロスが新ジャンルとして開設しました。2016年には一旦このジャンルを撤廃、しかし、2017年に再開されることが発表されました」
有鹿さんが言うように、保険会社のサービス自体が年によって変更されることも珍しくない。例えば最近も大手保険会社がオバマケアから撤退することが報道された。ではこのよく耳にする「オバマケア」とは一体何なのか?
「これはアメリカ政府が決めた健康保険に関する法律のニックネームです。この法律により、それまでは保険未加入者が多かった現状を改革するために、アメリカの住民は皆、健康保険に加入しなければならないとされています。よって、未加入者には罰金が課されます。年のうち保険加入期間が10カ月未満だと罰金の対象となります。2017年の健康保険の新規加入・プラン変更の受付期間は11月1日から1月31日となっています」
健康保険は勤務している会社がベネフィットとして提供している場合はそれを利用できるほか、個人はマーケットプレイスと呼ばれるインターネットでの購入サイトから申し込むか、保険会社から直接購入、さらに低所得とされる条件に該当すれば政府提供の健康保険を利用することができる。
有鹿さんはもうすぐ4年目を迎えるオバマケアの問題点について次のように指摘した。「もともとオバマケアを開始した理由のひとつは、これまで健康保険の未加入者が多く、病気が重篤化するまでなかなか病院に行けず、病気が発覚した時には治療に多額のお金がかかってしまうという事がありました。そこで、健康保険加入者を増やし、重篤化する前に病気を発見、治療する事でトータルの医療費を下げようというのが狙いでした。一方で、保険会社側からすると、オバマケアが始まるまでは保険会社は病気がちな人の加入を断ることができましたが、加入が義務となったため、保険会社は持病がある人も受け入れなければならなくなり、この事によって病気がちな人が保険を使って治療を受けるケースが増大し、保険会社の給付が増えた結果、急激な給付増に耐えられずに、倒産する保険会社まで出てきました。結果的に保険会社は保険料の大幅な値上げに踏み切ることになり、カリフォルニアでは平均13%、イリノイではレンジによっては60%の値上げとなるケースも出るようです。この急激な保険料UPによって、契約者側は保障のレベルを落とさざる得ない状況に陥っています」
有鹿さんに最後、健康保険加入の際の注意点についてアドバイスをいただいた。「アメリカでは保険を選ぶ時に自分がかかりたいドクターが入っているネットワークの保険にする、という方が多くいらっしゃいます。ところがいざ利用しようとしても、そのプランでは適用されないということも発生しています。同じ保険会社でもいくつかのプランを持っており、そのプランによってネットワークが違うからです。健康保険は申し込む時期が決まっていて、1年間変更できないため、加入する前に細かいところまで確認することをお勧めします」
Hoken-no 110 Ban Insurance Services
日本人スタッフが日本語で対応する保険代理店。カリフォルニア州とハワイ州で5店舗展開。40社以上の健康保険、生命保険、海外旅行損害保険、個人年金保険、学資保険を取り扱う。
310-855-3522
www.hoken110usa.com/
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