物流を制すものはビジネスを制すか?第3回

 2016年の年の瀬が11日後と迫った12月20日、米国籍船社であるMatson社が2017年2月より新しいサービスとして沖縄の那覇港に寄港すると発表した。CLX-China-Long Beach-Expressと呼ばれる従来のサービスを改編し中国のXiamenを外して新たに那覇港を追加。コンテナとバルクを積載できるセミコンテナ船5隻でWeekly Serviceを提供する。

那覇港直接寄港

一日の長あり APL

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 日本に寄港する外船が減って久しいが、そんな中でもMatson社より前から那覇港寄港をしている会社がある。APLである。APLの正式名称はAmerican President Line。もともとは名前のとおり米国籍船社で1938年設立された米国を代表する船社であった。しかし経営環境の厳しさから1997年シンガポールのNOL(Neptune Orient Line)社によって買収され、そして更に昨年2016年にフランスのCMA-CGM社がNOL社からAPLを買収。現在はCMA-CGM社傘下で航路運行を続けている。米国籍であった強みから日本のメインポートだけでなく在日米軍基地のある沖縄の那覇港に寄港し駐留米人向けの貨物の輸送を担っていた。

時短で対抗 Matson

Aerial photographs of Matson Ship coming into POLB. November 2009.

 そのAPLに対抗して今回那覇港寄港を始めるのがMatson社である。米国籍である同社は1882年ハワイに初就航以来、グアム、ミクロネシア、アラスカと航路を充実、拡大してきた。そして中国、ニュージーランド、オーストラリアと外航を展開、今回の沖縄寄港へと繋げている。今回Matson社が提供する那覇・西海岸サービスの最大の特徴はその足の速さである。
那覇・ロサンゼルス間の東航の所要日数が19日のAPLに対し、Matson社は那覇・ロングビーチ間が14日と5日早く、西航においても、ロサンゼルス・那覇間が21日のAPLに対しMatson社はロングビーチ・那覇港が17日と4日短縮されている。

 その足の速さを売りに今回那覇港進出を決めた彼らの意図は何であるか。次に実際に沖縄・アメリカの間ではどのようなものが輸入・輸出されているのかを見てみたい。

沖縄 貿易統計

財務省が発表した沖縄・米国間の貿易統計(米国とカナダの合計)によると

1) 輸出金額 1月~11月累計(2016年)711,417,000(円) 輸出全体に占める米国の割合は2.7% と決しておおきくはない。
品目としては繊維、食品、飲料品など。

2) 輸入金額 1月~11月累計(2016年)26,515,196,000(円) 輸入全体に占める米国の割合は15.8% 輸出に比較して圧倒的に輸入の比率は高い品目としては牛肉、豚肉、魚介、トウモロコシ、飲料、タバコ、一般機械、電気機器

などとなっている。

 今回の那覇寄港の狙いの一つは米国から日本向けに肉(牛・豚)やトウモロコシなどの主要産品の輸出拡大であり、飲料、タバコ、一般機械、電気機器など主に沖縄に駐留する約4万7000人(平成23年度)といわれる在沖米軍人、その家族向けの生活雑貨の輸出と考えられる。特に肉類は海上運賃が高位安定しているリーファーコンテナを使うことから収益性が高い。

 Matson社の強みを発揮する米国内のハワイ航路はコンテナの輸送費用が高止まりしていて経営安定化に貢献している。
今回の沖縄寄港も駐留米軍向け且米国の主要産品である肉類を運ぶことで高い運賃が設定できるとの目論見も見られる。
 中国・米国間の海上運賃が激しい競争の結果、非常に低く抑えられている状況の中で少しでも収益性の高い航路へのシフトは船社経営のイロハであろう。Matson社の今後のサービス展開に期待したい。

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赤岩寛隆 (Hirotaka Akaiwa)

赤岩寛隆 (Hirotaka Akaiwa)

ライタープロフィール

外航海運会社で20年以上にわたり北米定期航路の集荷営業に従事。北米駐在を経て2013年9月、北米唯一の海運、港湾、物流情報発信会社SHIPFANを設立。
「日本海事新聞」紙上に「ロサンゼルス便り」、 ロサンゼルスのフリーペーパーに「物流時報」を定期掲載するほか、物流コンサルティング、物流セミナー、港湾ツアーの開催、輸出入のマッチング業務を手がけている。ロサンゼルス港に「コンテナ物流研究所」を開設。

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