第100回 Dear Juliette
- 今は亡き愛犬に捧げる手紙 -

文/寺口麻穂(Text by Maho Teraguchi)

第1回の記事を書いた時に撮ってもらった、愛犬ジュリエットとの記念写真Photo © Maho Teraguchi

第1回の記事を書いた時に撮ってもらった、愛犬ジュリエットとの記念写真
Photo © Maho Teraguchi

 早いもので、あなたがレインボーブリッジのもとに旅立ってから5年半以上もの日々が過ぎました。でもね、形は変わってしまったけど、あなたは今もここに居て、お母さんは毎朝、頭をポンポンと撫で、寝る前は、おやすみのキスをしているんですよ。外に出かける時は、「留守の間、弟のノアを守っていてね」とお願いします。そして、あなたがちゃんとノアを守ってくれているのが分かっているから、安心して外出できます。いつもありがとう。

 「ドギーパラダイス!」が100回を迎えましたよ。100回続いたら、その時は、ジュリエットに捧げる記事を書こうってずっと考えていました。覚えてる? 一番最初の特別記事が発刊される時、編集者さんがうち来てくれて、私たちの写真撮影会をしてくれたね。とても良い思い出です。もし、あなたと出会っていなかったら、この「ドギーパラダイス!」を書く機会もなかったものね。それを言うなら、お母さんがドッグ・トレーニングやレスキュー活動の世界に入れたのも、弟分のノアと出会えたのも、ジュリエットがいたからです。お母さんに、大切な人生の使命を発見するきっかけを運んで来てくれたね。

 ジュリエットと出会うまでは、ピットブルという犬種のことも良く分からず、また、この犬種が被っている差別や、闘犬絡みの人間の悪事も知りませんでした。そんな辛い過去を体験してきたあなたとの出会いで人生が一変しました。あなたのことを愛すれば愛するだけ、辛い思いをしている犬たちを助けたい、人間が犬に犯している罪のつぐないをしたいと、どんどん思うようになりました。愛する犬達のために、とにかく一生懸命になりました。

 あなたと暮らした11年半、振り返ると激動の日々だったけど、ジュリエットがいたから乗り越えられたんだよ。苦も楽も全てをあなたと共にし、あなたは本当に最高の運命共同体でした。生まれて初めて、自分よりも大切なものの存在を知りました。ジュリエットはお母さんの宝でした。その世界で一番大切な宝に「さようなら」をしなければいけなかった時の心の悲痛。今まであんなに辛い気持ちになったことはなかったよ。あなたを失うくらいなら、毎晩夜中に何度でも起きて、あなたを抱き上げ外にトイレに連れて行く、どんなことでもする、だから引き離さないでと願ったけれど、あなたはお母さんのことをちゃんと考えて、「もう力が尽きたから逝かせて」と頼んだね。泣いて、泣いて、泣いて…顔が変わってしまっても、また泣いて。でもね、あなたをこの腕の中で見送れたこと、私たちは運命共同体だったから、最期まで一緒に頑張れたんだと自負しています。

 そんなあなたに教えてもらったお母さんの人生の使命は、この世の中から辛く、悲しく、痛い思いをする犬がいなくなること、人間が犬と本当の意味で共存できる世の中にすることです。出来ることは小さいかもしれないけれど、諦めずに頑張ります。一日一人でも仲間になってもらえたら、一日一匹でも不幸な犬が幸せになったら。こつこつ頑張ります。だから、いつまでも見守っていてね。

 愛する犬達のためにやることはまだまだ一杯だけど、使命を全うしたら、必ずあなたの傍に行くから、レインボーブリッジのふもとで待っていてね。その時は、ノアも一緒に家族で楽しい毎日を過ごそうね。ずっとずっとずっと大好きだよ。

 次回は「飼い主のエネルギー」と題し、力と精神の両面からみた飼い主のエネルギーのお話です。お楽しみに!

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寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

ライタープロフィール

在米29年。かつては人間の専門家を目指しサンホセ州立大学・大学院で文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人では「Doggie Project」というビジネスを設立。「人間に100%生活を依存している犬を幸せにすることが人間の責任」を全うするため、犬の飼い主教育やトレーニング、問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し活躍中。

プライベート/グループレッスン、講習会のお問い合わせは:www.doggieproject.com
ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

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