MUJIの商品で社会に役立ち
生活を快適にするお手伝いを

TOP INTERVIEW Vol.4
アメリカ市場に勝負を賭ける日系企業のトップに聞く。
MUJI U.S.A.LIMITED プレジデント
嶋崎朝子 / Asako Shimazaki

Photo © Keiko Fukuda

Photo © Keiko Fukuda

NY旗艦店の手応え

 五番街にあるニューヨークの旗艦店はおかげさまで非常に好調ですね。売り上げが計画を上回っているということと、それだけでなく広い店舗面積を生かして幅広く商品を揃えたこと自体が宣伝効果につながったこと、さらに店の入り口近くに設けたイベントスペースでの定期的なイベントの開催を通じて、MUJIのストーリーを多くの方に伝えることができていることが大きいと思います。できるだけコミュニティーに近い存在になりたいですし、それ以前に1個1個の商品で社会に役立つ、お客様の生活を便利にするということを目標に掲げています。

お気に入りの商品

 商品に関しては、例えば、私のお気に入りは調理スプーンです。これが1個あるだけで、炒めることもできるし、液体をすくうこともできます。1個の商品の中にさまざまな機能を持たせることで、道具を何個も揃えなくても済みます。空間もセーブできるし、何よりエコですね。掃除道具にしても、1本のポールの先にいろいろな機能の物が付けられて兼用できます。デザイン面でもこれをこのまま室内に置いていても邪魔になりません。このようなことがお客様の生活の役に立つことだと思うのです。

 しかし、何より私の一番のお気に入りの商品は、 アロマディフューザーです。アメリカだけではなく世界各地で売り上げナンバーワンの商品です。2008年に私がマーチャンダイザーとして企画開発しました。世界どこの国でも今はストレス社会です。このような癒しを与えてくれるものが人々の生活には必要です。癒しを求めることに年齢、性別、国籍は関係ありません。自分の生活に取り入れるだけでなくプレゼントとしてもおすすめです。

LA近郊とボストンにオープン

 さて、今回、ロサンゼルスでは3店舗目となるショップを、サンタアニータのショッピングモール内にオープンしました(グランドオープニングは2017年1月12日)。MUJIの商品は生活用品ですから、お客様の住んでいる場所に近いロケーションに出すことが理想であり、そういう意味ではアメリカでは人々の生活の一部とも言えるショッピングモール内のいい場所に出すことができました。場所柄、アジア系の方が多いので、既にMUJIのことを知っていていただいている方が多いのも大きなベネフィットになります。

サンタアニータの広々とした店内Photo © Keiko Fukuda

サンタアニータの広々とした店内
Photo © Keiko Fukuda

 1月27日にはボストンにも新店舗がオープンします。マサチューセッツでは初めての出店です。ボストンもまた旗艦店としての扱いであり、大型店です。

懐深く、自由なアメリカ

 私自身はアメリカに来て3年です。実際に働いてみて思うのは、アメリカの方々の懐の深さですね。どうしても日本と比べてしまうのですが、アメリカのお客様は日本と比べると、自分の好きなこと、興味に対して非常に素直なリアクションを示されるという印象です。自由で大らかだと思います。

 3年後のアメリカでのMUJIの姿? よく店舗数などを質問されますが、数を増やすことだけを目的にしているわけではありません。出したお店に、できるだけ多くの幅広い層のお客様に足を運んでいただき、また商品について理解していただいた上で 、何度も繰り返し店に来ていただきたいと考えています。MUJIの商品を通じて生活を少しでも改善していただけることができたら、というのが私共の願いです。

PROFILE
西友のバイヤーを経て1998年に無印良品に転籍。次々にヒット商品の開発を手がけた後に無印良品の西武池袋店の店長を1年半務める。2014年2月にMUJI USAの代表に抜擢されて渡米。2017年2月には日本に帰国し、商品開発部の食品部長に就任予定。

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