教育 - 学校の教育内容に関して(前編)

文/在米日本人フォーラム(Text by Japanese Forum USA)

日本人は自国に対する認識や歴史認識が他の国の人より弱い、それって本当?

1.日本の素晴らしさを認識させる教育科目の導入

現在行われている日本の学校教育の中に、日本の素晴らしさを認識させる教育科目はあるのでしょうか。この点は現行の学校教育に関する知見が無いため、この提言が正しいのかどうかは分かりません。

日本の外で生活していて強く再認識させられることは、日本は、素晴らしい国、この上なく美しい国、世界に比類無き文化度・民度を持つ民族、それゆえに誇らしく思える国であることです。

さらに客観的にも日本に関して、世界のほとんどの国々が(一部の近隣の国を除いて)その見方に賛同しますし、日本を好ましく思っています。
では、日本人自身は、素晴らしい国に住み、その素晴らしい国の国民であるという認識が根付いているのでしょうか。

アメリカ人の不思議なところは、よく言われるように種々雑多の人種の坩堝(るつぼ)にもかかわらず、また貧富の差や年齢の差を問わず、殆どの人々がアメリカという国そしてその国民であることを誇りとしていることです。約200年遡ればネイティブ アメリカンを除いて全員が移民にもかかわらずです。

中には自国を誇りに思う余りアメリカが全てにおいてNO.1であって、他を差別視する偏見の持ち主が存在することも事実です。その様な偏見を持つ人から日本人は「バナナ」だと言われたことがあります。それは、「日本人は、外は黄色にもかかわらず、中は白(白人)だと思っている。」という意味でした。その言葉に憤りを覚えましたが、そんな輩は相手するに値せずと反論しませんでした。
日本人として自国を誇りとし、自国の素晴らしさを認識させる教育科目が、教育課程の早い段階で導入されることを願って止みません。

2.日本史を必須科目に

アメリカでは高校においてもAmerican Historyが必修科目です。そしてその教科書は、約200年の歴史しかないにもかかわらず非常に厚いのです。私の赴任で高1と高2でアメリカに来た子供たちは、アメリカの歴史に関し当然全くの無知でしたから、2年にわたってこの必修科目を落とし続け卒業前にようやくパスしました。

日本の正しい歴史認識を培える教育(特に現代史)機会徹底の必要性を痛感しています。中国や韓国から日本人の歴史認識の無さを誹謗される昨今ですが、あながちその非難が間違いとは言えません。

アメリカに留学している日本と中国と韓国の学生との間で、第二次世界大戦の議論になると、日本人学生は一方的に論破されるだけで、それに対論し得る十分な知識を有さない場面を見受けます。それは日本の学校教育において第二次世界大戦が何ゆえに起こり、いかなる戦争であったかを正しく教えていないからです。

逆に中国や韓国では、その内容は「日本悪し」に徹したものですが(日本から見れば間違った史実ですが)、少なくとも彼らなりの歴史を徹底的に教え込まれていますから、これではまったく勝負になりません。

私が経験した学校の授業を振り返っても、日本史を習ったものの現代史は通り一遍で、第二次世界大戦についても単に起こったという事実のみで、その戦争の原因や背景を詳しく教えられた記憶がありません。さらに高校では日本史は選択科目となり、学んだ範囲は大学入試に必要とされる明治までで、大正・昭和まで至りませんでした。大学入試に必要な日本史それも選択科目では、正しい歴史認識が培われることはあり得ません。

過去に「歴史認識」という言葉がこれほど注目されたことも無かったと思いますが、中国や韓国からの外圧に対し次の世代が向き合って行くためにも正しい歴史認識を培える学校教育は喫緊の要事ではないでしょうか。

(参考) 実際にあった話です。つい最近アメリカ駐在に来られたご家族に小学校3年生の息子さんがおられて、その彼との話の中で驚いたのは、彼は第二次世界大戦の対戦国がアメリカであったことを知らなかったのです。彼の理解は、アメリカはあくまで友好国であって、戦争相手国という認識がありませんでした。彼もアメリカが敵国であったという新しい知識に驚いていましたが、小学校の低学年ではまだ歴史を教えないまでも、常識的に色々な知見を通じて知るはずで、こちらもあり得ない話と驚きました。正しい歴史とその認識の教育を徹底すべき事例と言えます。

(後編に続く)

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Japanese Forum USA(JFUSA)在米日本人フォーラム

ライタープロフィール

在米日本人フォーラム=JAPANESE FORUM USA(JFUSA)は長年、米国で企業経営に携わり、現地社会に融和し生活して来たアメリカ在住の日本人有志によって発足。豊富な滞米経験を活かし日本の良き将来のための提案や情報の提供を目的としています。

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