必勝ガイド 就職&転職

大学卒業後にアメリカに残って働きたい人、また転職を視野に入れている人、さらにアメリカ国内外での転居の可能性も含めてキャリアアップや環境の改善を目指す人に向けてお届けする、2017年の就職と転職の最新事情。

2017年の米国就職市場
US JOB MARKET

 就職活動と一口にいっても、日本での就職活動と在米の日系企業を対象としたものでは何が根本的に違うのかについて、おさらいしておこう。アメリカで年に4回のキャリアフォーラム(他にグループ会社として日本で4回、イギリス1回、オーストラリア1回、中国1回)を開催しているDISCO International(以下DISCO)社長の秋本浩児氏は、新卒に絞った場合としてその違いを次のように解説する。「日本にある日系企業は新卒採用の場合、多くがポテンシャル採用です。文系(事務系)、理系(技術系)を問わず、まずは基礎的能力の高さと、人物によって採用か否かが決まります。採用方法は長期の雇用が前提となり、その間に社員としても、社会人としても成長してもらうという考え方。現在は転職をするケースが増えましたが、元々は終身雇用を前提とした社員採用のスタイルであり、そこが日本的です。一方、アメリカにある日系企業では職種採用が前提となるため、それまでの職歴、学歴が重視され、新卒採用でも現在何ができるかが採用の判断基準となります。ただ、新卒の場合はやはり職務経験がないため、アメリカではインターンやCooperative Educationなどのプログラムが充実しており、大学生でも職務経験を持ちやすい環境が整備されています」

 その前提条件を踏まえたうえで、全体的なアメリカの就職市場の現状はどうなっているだろう?

 「新規ビザ取得者に関しては、リーマンショック以降、アメリカ国民の失業率改善のために、外国人への就労許可基準が年々厳しくなってきています。トランプ政権の現在ではその傾向が顕著になっており、H1-B保持者のトランスファーでも審査基準は厳しくなるばかりです。一方でバイリンガルの米国就労許可保持者の転職市場では、産業が活発な南東部、中西部、テキサス州などで新規雇用の機会が着実に増加しています」と語るのは、全米に16拠点を展開する人材紹介会社 Interesse International, Inc.(以下インテレッセ)代表の藤原昌人氏。

 また、前出のDISCOの秋本氏も「失業率の低下や株価の高騰などから見て、全般的には売り手市場といえます。日本語能力を有する人材へのニーズも高い水準が保たれています。しかし、ビザ取得の難しさから見ると、実際売り手市場であっても、求人に対して適切な人材が入社しているかという点に関しては疑問が残ります」と、現状を指摘している。

 続いて秋本氏は、ニーズの多い日本語を使う職種については次のように語った。「セールス、IT、会計、ファイナンス、人事、総務など幅広い専門職でのニーズは高く、常にあります。職務経験レベルも様々。エンジニア、研究者などはレベルにより必要とされる能力、バックグラウンドが異なるため、対象にマッチした場合は非常に高いニーズがありますが、内容が異なるとまったくマッチしないケースもあります」。藤原氏も、バイリンガルニーズの高いポジションとしては、ドキュメントの翻訳、日本人経営者の総務秘書業務、アカウンティング、セールス、技術、IT関係だと語る。総合すると会計、総務、秘書、IT、技術の専門職が特に求められているようだ。

新卒者へのアドバイス
ADVICE FOR NEW GRADUATES

 前述のように新規のビザ取得が厳しい昨今、OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)で就職戦線に立ち向かう求職者へのアドバイスを聞いた。

 インテレッセの藤原氏は就職活動から遡って、大学での専攻選択から慎重に検討すべきだとアドバイス。さらに「最初からOPTの期間限定で頑張ってみるのも一つの選択肢です。その期間での実績を、今度は日本で就職することで生かすのです。その後、駐在員としてアメリカに戻ってくる可能性もあるし、英語が使えるアジア地域での就業も考えられます」と、目の前の利益だけでなく、回り道でも目標を叶える手段はあると語る。

 しかし、最初からOPTの期間だけの就労だと決めてかかる必要はないと、経験に基づいた可能性について話すのは、40年近い業界経験を誇る人材紹介会社Teruko Weinberg,Inc.(以下TWI)代表の照子ワインバーグさん。

 「私が求職者の方に申し上げたいのは、仕事を探しているのか、それともビザを探しているのかということです。ビザをスポンサーしてもらえなければ働かないということではチャンスを逃す可能性もあります。例えば、私の過去のアプリカントで、OPTのステータスで某企業に派遣された方がいました。派遣ですから当然、ビザのスポンサーは当初の条件に含まれるはずはなく、派遣期間も2カ月の予定でした。しかし、アメリカに残って働きたかった彼は一生懸命に仕事に取り組み、派遣開始2週間でその会社からH1-Bのスポンサーの約束を取り付けました。何が起こるか分かりません。結果さえ残してこの人が欲しい、と会社側に思わせることができれば、当初の条件が覆ることもゼロではないのです」 

履歴書のチェックポイント
CHECK YOUR RESUME

 実際に就職活動をスタートするとなると、履歴書作成は必須。では、履歴書のどこがチェックされるのだろうか?

 「まずはひとつの仕事にどれだけの期間就いていたか、です。ひとつの仕事にきちんと取り組むには最低でも5、6年はかかります。その途中で会社の撤退といった事情が起こった場合は仕方がありません。しかし、頻繁な転職歴がある場合、履歴書の段階で弾かれる可能性は大です。これはアルバイトやパートの経験でも同じことがいえます。新卒の方の場合、大学時代にアルバイトの経験を履歴書に記入することになりますが、ひとつの仕事を長期間継続していた人の場合、採用担当者は『この人はその職場でなくてはならない人だった』という見方をします」(TWIのワインバーグさん)

 最近の就活サイトでは履歴書を簡単に作成できる機能が付いている。しかし、ここで見逃すことができないのは、フォーマットに合わせて簡単に入力するだけで突出した特徴を打ち出せない履歴書は結局、企業の目に止まらないという事実。どの企業に対しても同じ内容の履歴書を送るのではなく、応募先の企業ごとに明確にモディファイした履歴書を送ることが重要だ。オンラインがいくら便利だといっても、同じ内容のものをボタンひとつで一斉に送信するのではなく、なぜその会社を志望するのかという動機について企業別に熱く訴えないことには、はじかれてしまう可能性が高い。また、一部の大企業ではAI(人工知能)によって履歴書の第一次選考が行われているのは周知の事実。今はAIを使って、募集しているポジションに関連するキーワードがどれだけその履歴書の中に記載されているか、また誤字脱字、文法の間違いなどがどれだけあるかをチェックする時代だ。よって、キーワードがあまり含まれていなかったり、ミスが多かったりする履歴書は人間の目にまで届かないこともある。

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