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日系企業が一帯に集中するメキシコのグアナファト

ビザ取得が容易、ただしスペイン語はマスト
メキシコの就職事情

 アメリカでの新規の就労ビザ取得は依然困難な状況だ。しかし、スペイン語さえできれば、メキシコでの就職という手段もある。なぜなら、メキシコでは企業がスポンサーすれば就労ビザが1年ごとの更新で取得可能だからだ。しかも永住権取得も比較的容易。

 そんなメキシコでの就職市場の状況について、現地で人材紹介事業を手掛ける、シカゴ本社のKimata Personnel & Consulting, Inc.の代表、木全健一さんに聞いた。

 「メキシコは親日国です。日本のテクノロジーに対して敬意を抱いてくれる人が非常に多いのです。その背景には、メキシコに古くから根を張って事業を展開している、日産をはじめとする日系の自動車メーカーの存在があります。日産は50年前からメキシコに進出しており、町を走る自動車も4台のうち1台は日産車です。よって、そのような日系の自動車メーカーや関連のサプライヤーで、日本からの駐在員と現地従業員の間に入って通訳をする人が常に求められています」

 また、メキシコでは人材の流出を防ぐために従業員に手厚いベネフィットを提供する企業が少なくない。メキシコの労働法にはPTU(労働者利益分配金)と呼ばれる制度があり、利益の10%をボーナスとして労働者に分配しなければならないと定められている。また、年末のボーナス支給も法律で定められており、給料の半月から1カ月分が出る。

 しかし、トランプ政権になり、フォードをはじめ、メキシコ国内での工場建設を中止したり、また撤退したりする企業も出てくるのではないか? その疑問に対して木全さんは「現時点でも、企業が集中し過ぎているのが現状。今後は2、3年の間に競争力のある企業が残り、一方で撤退する企業も出てくると思います。しかし、依然、日産をはじめホンダやマツダもメキシコで頑張っていますし、メーカーが残る以上、関連のサプライヤーも残ります。そして、日本人が増えるにつれ、日本食のレストランも進出してきています。日系だけでなく、スペイン自体の景気が悪いのでスペイン企業のメキシコへの投資も盛んですし、BMWやアウディといったヨーロッパ系企業の進出も目立っています」と、一部の淘汰はあっても、今後も堅調に推移していくのではと見ている。

Kimata Personnel & Consulting, Inc.
www.kimata.com
(224)875-7136

就活 with インターネット

 今やインターネットなしに就職活動は始まらない。インターネット上の主な就活サイトとしては、歴史が古く、幅広い業種から仕事を選べるモンスターやキャリアビルダーが今も主流だが、インディード、リンクドインを活用する方法もある。

 インディードはグローバル規模で仕事探しができるサイトで、ネット上にある求人情報をまとめて検索できるのが特徴。

 また、ヘッドハントの機会を求めているなら、「世界最大のプロフェッショナルネットワーク」を謳うリンクドイン。すぐに転職をする気がなくても自分の過去の職歴などの経験を登録しておけば、企業の方からメッセージが届く。よってリンクドインはエントリーレベルの人よりも、どちらかといえば管理職クラスの人向けのサイトだといえそう。

 日系であれば、キャリアフォーラムやジョボットという就活サイトがある。さらに地域限定の日系企業や、もしくはパートなどの仕事探しであれば、各地域をベースに展開している日系のコミュニティーサイトのクラシファイドをチェックしてみよう。

 検索サービスのグーグルも、新しくGoogle Hireという名称の求人サイトをスタートさせるとこの春に報道された。全容はまだ明らかになっていないが、グーグルの参入を受け、就職活動のデジタル化は今後も加速度的に進みそうだ。

モンスター www.monster.com
キャリアビルダー www.careerbuilder.com
リンクドイン www.linkedin.com
キャリアフォーラム careerforum.net/ja/
ジョボット myjobot.com
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