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ラテンアメリカのハブ、パナマ
- 2017年8月11日
「中南米」と聞いたとき、まず皆さんはどの国の名前を頭に思い浮かべるでしょうか。
そのかつての宗主国の違いから、北米である「アングロ(イギリス系)アメリカ」と分け「ラテン(イベリア系)アメリカ」と呼ばれるこの地域には、多様な風土に文明が根付き、人類の連綿たる歴史がそこに刻まれていることは周知の事実です。しかしながら、どこかいまだ謎に包まれた土地であると、やや距離をもってイメージされがちなのはどうしてでしょうか。
本コラムでは、そこに暮らす陽気な人々やユニークな習慣、豊かで圧倒的な大自然の姿を、観光情報はもとより時事的解説も含めご紹介していきます。
さて、そんなラテンアメリカ諸国の中で、まずはどの国をお伝えすべきか。アメリカ大陸を地図でじっくり眺めてみると、北のアラスカ州フェアバンクス(アメリカ)から大陸最南端のティエラ・デル・フエゴ(チリ・アルゼンチン)まで、全長48,000キロとも言われる幹線道路「パンアメリカンハイウェイ」が長く敷かれていることに気付きます。パン・アメリカ主義のもと、20世紀半ばに整備が進められたそれは、各国間の連携をみるひとつの象徴といえると同時に、ある種のロマンを掻き立てる「壮大な一本道」と表現することもできるのではないでしょうか。
この道に車を走らせ、いくつもの国境を渡り旅をする。
ふと思いを巡らせるだけでつい胸が高鳴ってしまうのは、きっと旅好きな私だけではないはず。ただ、この道を北から南下していったとき、とある地点で道路が分断されているということはご存知でしょうか。
広大な大陸をつなぐ道が、ただひとつ分かたれているところ。それはずばり「世界の十字路」とも呼ばれるパナマ共和国上でのことです。まるで南北を繫ぎとめるように細長く東西に伸びたその国を、「パナマ運河」の名から知る人はきっと多いことでしょう。
「パンアメリカンハイウェイ」が分断されているのは、このパナマ東部とコロンビア間にあるダリエン地峡一帯です。そこで見つけられた独特の植物相や先住民族の保護、また、隣国との治安や衛生面の見地から、この道はあえてそこでいったん途絶されているのです。
ではしばらく走ってきたこのハイウェイ。思いもよらぬこの地で車を降りることになったとしたら、あなたは一体どこを見てみたいと思うでしょうか。
西へおよそ300キロ戻ったところでは、この国の代名詞ともいうべきパナマ運河が、その名もまさに「アメリカ橋」の真下を通り、太平洋へと流れ注いでいきます。
15世紀末、コロンブスに発見されて以降、3回の独立を果たしたといわれるパナマ。スペインから自由を勝ち取り、次いで誕生したコロンビアから分離し、利権交渉の末、1999年にアメリカからこの運河を返還されたことによって現在の主権国家となりました。その国の位置からかねてより交通の要衝と考えられてきたこの国は、やはりこの運河事業なしで語ることは難しいようです。
毎日約40隻を超える船が行き交う中、現在では日に2度ほど観光用運河クルーズも出ています。2016年に完成した新閘門(こうもん)は、確実に今のパナマ観光では見逃せないポイントのひとつ。
この広大なアメリカ大陸をおよそ100年も前に人々の手によって分断していった場所。
そして、それによって初めて繋がれた大西洋と太平洋。
果たして、百聞は一見にしかず。
隔たりある大海を結んだことでその後の世界的な物流に大きな展開や影響を及ぼしていったこの運河に寄せて、本コラムもまずは初回にこのパナマ共和国をご紹介していきたいと思います。
続くコラムでは、パナマ運河詳細とそれに関連した「フリーゾーン(免税地帯)」「タックス・ヘイヴン(低課税地域)」についての情報をお届けします。
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