昨日までの同僚女性が、ある日突然部下になったら

「グッドモーニング!」
朝の8時。いつもどおりに出社し、いつものメンバーにご挨拶。挨拶は常に笑顔を心がけています。誰だって無表情な挨拶よりはスマイルがいいですよね。こちらに来たばかりの日本人の中には少々シャイな方々もいらっしゃいますが、ここはアメリカ。どーんと朝から行きましょう!

ひと口に「ワーキングウーマンin USA」といっても、現地採用か日本からの出向か、はたまたフリーランスかパートかなど、様々なパターンがありますね。いずれにせよ海外で働いていると、日本ではちょっと考えられない体験をすることも多いかもしれません。

そんな時「これだから海外勤務は嫌だ」と不平不満を言いながら仕事を続けるのか、それとも現地のやり方を受け止め柔軟に対応していくのか。ほんの少しの心の切り替えで、日々のワーキングライフがガラリと変わると思います。せっかく何かのご縁でアメリカで働くことになったのですから、楽しんでお仕事したいものですね。

さて、かくいう私は現地採用のパターン。今年で在米勤務16年目ですが、今でも日々発見の連続です。
僭越ながら、私の過去の体験をご紹介したいと思います。

アメリカの企業では、日本のような年功序列制度をとっていません。そのため勤続年数や年齢に関係なく、昨日までの同僚がある日突然自分の部下になったりすることがあります。また、日本のような新卒一斉採用を実施していないため、業務をまったく知らない人が他社から中途採用で自分の上司となり、一から仕事を教えてあげないといけないといった場合もよくあります。ここでは基本的に性別は関係ありません。

私は「ある日突然、同僚が自分の部下となる」ケースを経験しました。

当時の私は役職なしの一般社員。アメリカ人女性の同僚Nと楽しく仕事をしていました。彼女は私と同年代で趣味も合う、とてもいい同僚でした。彼女の口癖は「マネージャーって大変そう。私は今のポジションで普通に仕事していきたい」でした。

そんなある日、社内の組織変更があり、Nが私の部下となったのです。今まで仲良くしていたし、Nの口癖から言っても今までの関係を続けられると思っていましたが、間違っていました。目に見えてNの態度が変わってきたのです。「自分の方が仕事ができるのになぜYukoが選ばれたのか」と周りに言うようになったり、今までなら絶対にないミスをして私がやり直しする羽目になったり。周囲が見ても明らかにおかしいと感じる態度を取るようになりました。

この状況を私の上司に告げてトップダウンでNをたしなめてもらうこともできましたが、そうせず、代わりに取った手段をご紹介します。

まずは、突然上司っぽい態度を取るのではなく、慎重にゆっくりシフトしていきました。それから、とにかく「聞く」こと。こまめに状況をフォローし彼女の言い分や不満を聞きました。もちろん最初から口を割ってくれることはなく、表面上は「Everything is all right」ばかり。ゆっくり時間をかけNと共感できることは同意しつつ、「私は敵じゃないよ。このグループを良くして、プロジェクトを一緒に達成していこう。そのために貴女が不可欠」という点を真摯に伝えることに努めました。

一方でチームのメンバー全員に公平に接するようにし、彼女だけ特別にならないよう気をつけました。

半年後には、Nはとてもいいチームメンバーになっていました。結局Nは家の事情で翌年退職しましたが、10年以上経った今でも時々連絡を取り合っています。

文化の違いに加え、女性同士でのこういった問題はこんがらがると厄介。ですがその一方で、女性だからこそ、細かい部分に気を使えるところもあるはず。からまった糸をゆっくり解いていく心持ちでアプローチしたいものです。

同じアメリカで働く女性の皆様、今日も一日頑張っていきましょう!

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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