カリフォルニアの森にある3つの「世界一」。
そして4つ目の世界一はコロラド州に

文&写真/関克久(Text and photo by Katsuhisa Seki)

カリフォルニア州はディズニーランド、ユニバーサルスタジオなどのテーマパークやハリウッド、シリコンバレーなどがあって、近代的でハイテクなイメージがあるが、実は国立公園が9つもある豊かな自然に恵まれた州なのだ。中でもヨセミテ国立公園は、グランドキャニオンやイエローストーンと並び四季を通じて楽しめるもっとも人気の高い国立公園だし、ロサンゼルスから2時間ちょっとで行けるデスバレーやジュシュアツリーといった国立公園は、まさにこの世とは思えない宇宙的な景観が、日常のスケール感をはるかに超えて広がっている。

デスバレー国立公園 ザブリスキーポイントからの景観

ジョシュアツリー国立公園

いまだ成長し続ける、世界一高い木

Coastal_redwood

そんなカリフォルニア州にある3つの世界一とは、大自然に今も生息し続ける「木」である。まずは世界一高い木。オレゴン州との境に位置するレッドウッド国立公園にある「ハイペリオン」と名付けられたセコイアメスギの木は高さ115.61メートル、直径4.6メートル、樹齢600~800年といわれる。2006年8月25日にナチュラリストのクリス・アトキンス氏とマイケル・テイラー氏によって発見された。ちなみに世界第2位は「ヘリオス」で高さ114.58メートル、第3位は「イカロス」で113.14メートル、いずれもレッドウッドにある。

クリスとマイケルはレーザー測定器を使って高さを図ったが、地元のハンボルト州立大学の研究チームが正確を期するため、数時間かけててっぺんまで登りテープを使って測定し、115.55メートル(当時で)ということが分かった。今の樹齢を人間に例えると20歳程で、まだまだ育ち盛りだそうだ。気になるのは所在地だが、生態系を人間の手から保護するため正確な位置は公表されていない。

どっしりと構える世界一の巨木

セコイア国立公園にあるシャーマン将軍の木

2つ目は世界一大きな木。これは皆さんご存知の通り、セコイア・キングスキャニオン国立公園にある「シャーマン将軍の木」だ。直径11.1メートル、高さ83.8メートル、推定樹齢2200年。

2006年1月に直径2メートル、長さ30メートルもの枝が突然折れてしまったが、木の体積は枝を除いてあるため世界一の座は守られた。2番目の巨木である「グラント将軍の木」もセコイア国立公園にある。ちなみに誰が考えたのかは分からないが、セコイアの漢字は「世界爺」と書くとのこと。

過酷な環境を生き抜く世界一古い木

強風で渦巻状になってしまったプリストルコーンパインの木

3つ目は世界一古い木。ロサンゼルスから国道395号を北に5時間ほど走ると、ヨセミテ国立公園に抜ける手前にインヨ国立森林公園がある。標高4344メートルのホワイトマウンテンの中腹に群生するブリストルコーンパイン(Bristlecone Pine/イガゴヨウ松)がそれで、一番古い木は、900歳以上生きたといわれるノアの洪水以前のユダヤの族長の名から、「メトシェラ(Methuselah Tree)」と命名されている。

発芽したのが紀元前2832年、ということは今年で樹齢4849歳。クフ王のピラミッドができた時(諸説あるようだが)は既に300歳というから驚きだ。

さぞかし大きな木かと思いきや、高さは10メートル程度で、一見枯れ木のようにさえ見える。その理由は、冬はマイナス30度、夏は風速90メートルにも及ぶ強風という高地の過酷な環境を生き抜くため、みずから枝を枯らし限られた枝だけに養分を集中して生きながらえて来たからだ。成長速度は10年で2~3センチ、幹の太さも100年でも2.5センチ程度。屋久島の縄文杉は推定樹齢7000年といわれていたが、その後の調査では約2700年ということが分かったのだそうだ。メトシェラはアリゾナ大学のシェルマン博士が細い円筒形ドリルで幹から標本を取り出し実測されたので、間違いなく現存する世界最古の木といえる。

ビジターセンターで「メトシェラはどの辺ですか?」と聞くと、地図に大きな円を描いて「この辺だけどね、場所は言えないわ」とのこと。だが、樹齢4000年以上の木が群生するエリアは親切に教えてくれる。我々と日々共有している土、空気、水、そして光だけで40世紀もの間生き続けているというのはまさに奇跡の生物だ。

ブリストルコーンパインフォレストのビジターセンター

世界一大きな生き物は木だった!?

コロラド州にあるアメリカン・アスペンの森

さて、コロラド州にある4つ目の世界一とは? その前に世界で1番大きな生き物は?という質問にはなんと答えるだろうか。ほとんどの人はシャーマン将軍の木、またはシロナガスクジラと答えるだろう。正解はコロラド州の代表的な風景にもなっているアメリカン・アスペン(ポプラ)だ。

アスペンはすべての木の根がお互いにつながっている。したがって地球上で最大の生命体というわけだ。コロラド州では秋になるとまるで示し合わせたように一斉に美しい黄葉で山々が彩られる。アスペンの木々達は「さ~て、肌寒くなってきたし、そろそろ皆で一緒に黄色くなって人間達を驚かせてやろうか?」と言っているのかも知れない。

日本の大自然はスケールは小さいものの繊細で、秋の紅葉の多彩な色合いはまさに世界一だが、アメリカの大自然は空間的にも時間的にもスケールが桁外れ。オフシーズンの雪景色の国立公園も絵になる。ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

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関克久 (Katsuhisa Seki)

関克久 (Katsuhisa Seki)

ライタープロフィール

旅行のプロデュースに携わって30年。趣味は写真。「百聞は一旅に如かず」旅に出て初めてわかるのは、実は故郷の良さなのかも知れません。「旅は百薬の長」、皆さん旅に出ましょう!

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