第111回 おしっこ、うんち

文/寺口麻穂(Text by Maho Teraguchi)

“ピーメール”でご近所の仲間に連絡中の著者の愛犬ノア
Photo © Maho Teraguchi

 愛犬のおしっこやうんち、日頃からきちんと観察していますか? 排泄物は、犬の健康状態を示す大切な信号です。飼い主は、普段から愛犬の排泄状況や出た物の状態をチェックし、何か変化があれば、すぐに気がつけるようにしていることが大事。今回は、飼い主として知っておきたいおしっことうんちのお話です。

健康のバロメーター

体の調子が悪くても、言葉で説明できない愛犬の健康状態を知るために、排泄する時の行動や排泄物は指標になります。普段から、愛犬の排泄の回数、仕方、量、色、臭いなどに着眼しておきましょう。異常を発見するために覚えておきたいのは、急に排泄の回数が上下するなどの変化を見つけることです。また、出したいのに出せないで困ったり、苦しそうにしたり、悲痛な声を上げたりしたら要注意。

しっかりとしたうんちがたっぷり出たから良い! というわけでもなく、たくさん出ているということは食べ過ぎのサインでもあり、また、食べたものにいらないものが多く含まれていたという意味になります。体に良いものを食べていると、うんちの量が大量になることはありません。食べ物の質を見直して、うんちの量の変化を見てみるといいでしょう。同じ食べ物を食べさせていると、おしっこやうんちの色も臭いも一定のはずですが、もし色や臭いに変化があったり、異常を感じたりしたら、現物を持参して専門家に診てもらうのが良いでしょう。

愛犬ノアがまだパピーだった頃、ちょっと目を離したすきに、容器に一杯入ったワセリンをほぼ全部舐めてしまったことがありました。すると大変な便秘に……。とにかくうんちが出せない。しゃがんではいきむのですが、何も出てこない。ノアも私も焦って困り果てました。色んな人の意見を参考に、ヨーグルト、繊維の多い果物や野菜を一杯食べさせ、とにかく体を動かしました。すると、やっとのことで変な色のうんちが出て、一件落着。今では笑い話ですが、異物を食べて命を落とす犬もいるので、愛犬が食べてはいけないものを口にしてしまわないよう十分気をつけましょう。

犬の連絡網

散歩中の犬の排泄方法を見ていたら、犬のおっしこやうんちが「体に不必要なものを排泄する行為」だけではないことが分かります。犬は、くんくんと地面や木や電柱などの臭いを嗅ぎ、排泄する場所選びに多いに時間を費やします。また排泄の回数ややり方(オスの場合、足の上げ方)など排泄にこだわりも示します。それは、犬たちが自分の排泄物を使って仲間たちとコミュニケーションを取っているからなのです。犬は、他の犬の排泄物の臭いで「いつ」「だれが」「何を食べ」「どんな健康状態で」「どんな精神状態であるか」などが判断できます。また、人間にとってはどうでもいいような排泄の場所や位置選びは、犬の間ではとても重要な意味をなします。そのため犬たちは一生懸命地面などの臭いを嗅ぎ、情報収集します。自分たちの排泄物の臭いが見えない相手との「会話」なのです。排泄した後に土を蹴る行為も同じような意味があります。地面を蹴ることで足の裏から分泌物を出し、それをまき散らして自分の領域表示をします。また、メス犬は発情期には、自分の排泄物で周りのオス犬たちに発情していることを連絡します。ただし、臭い嗅ぎが犬にとって大切な行動だからと、散歩中、終始犬に主導権を渡し、したいようにさせていいというわけではないので誤解のないように。

深い意味がいっぱい詰まった犬のおしっことうんち。これからの散歩で愛犬の排泄を観察し、学んでみると愛犬との生活が一層楽しくなると思います。

次回は「犬の毛色」と題し、細かく分けられている犬の被毛の色についてのお話です。お楽しみに!

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

ライタープロフィール

在米29年。かつては人間の専門家を目指しサンホセ州立大学・大学院で文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人では「Doggie Project」というビジネスを設立。「人間に100%生活を依存している犬を幸せにすることが人間の責任」を全うするため、犬の飼い主教育やトレーニング、問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し活躍中。

プライベート/グループレッスン、講習会のお問い合わせは:www.doggieproject.com
ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る