諦めない!
アメリカでの日本語教育

 お子様を高等部まで補習校に通わせた複数の保護者の経験をもとにお伝えします。

 小学校高学年くらいから「補習校を辞めたい」と言うお子さんが出てきます。ご家族の対応としては、「日本の義務教育を受けてほしい」という親としての希望を伝え、お子さんとしっかり約束していただくということです。

 土曜に通う補習校の場合、現地校のお友達の誕生会、またはスポーツの試合などで補習校を途中で早退したいとお子さんが言うケースがあります。その時も親御さんは絶対に譲らないでください。その代わり、補習校の授業が終わった後なら、いくらでも連れて行ってあげてください。サッカーの試合でも午後3時(補習校の終了時間)以降なら参加してもいいのです。過去には、あるお子さんがサッカーチームのポイントゲッターだったので、チーム側がその子に参加してほしいがために、午後3時以降に試合を組むようになったということがありました。

 また、日本人のご家庭の場合は家庭内では日本語のみで会話するようにしてください。それは兄弟姉妹についても同様です。お姉ちゃんやお兄ちゃんは日本語ができるけれど、下のお子さんが、日本語が不得意なケースがよく見られます。それは、上のお子さんが妹や弟に対して英語で話しかけているからです。また、親御さんだけでなく、上のお子さんが下のお子さんの補習校の宿題を一緒に見てあげるようにしてください。家庭内で協力し合うということが大切です。約束を果たすのは大変ですが、ぶれることなく貫いてください。

 さらに、補習校では「日本の学校文化」が経験できます。教科書をただ読んだり、インターネットに向かって勉強したりするだけでなく、教師と生徒のやり取り、また生徒同士のコミュニケーションなどを通じて、個人的な取り組みでは身につかない学習言語をより習得しやすくなります。将来、日本に帰る、またはアメリカ生まれの子どもにとっては日本で生活してみたいという場合、さらには日本語をしっかりとマスターしたいというお子さんには、家庭内で日本語を話すだけでなく、「ぜひ補習校にいらっしゃい。そして一緒に学びましょう」ということを言いたいですね。

 私は過去に、日本人の両親を持つお子さんで、一方は補習校に最後まで通って完全な日英のバイリンガルになった人、他方は途中で日本語を捨ててしまって英語のみの生活になった人の両方のお話を伺ったことがあります。後者の人がおっしゃっていたのは、「自分が補習校に通うのをイヤだと思った時も、どうして母親が強制的にでも通わせてくれなかったのか」ということです。日本語を習得できなかったために日本に行くと「アメリカ人」だと思われ、アメリカ人からは「日本人」と受け止められるそうです。無理矢理でも親に背中を押してもらうべきだった、そのことに大人になってから気づいたのです。

 その点、バイリンガルになった前者の人の場合は、日本人に対してはネイティブの日本語で会話をし、アメリカ人とはネイティブの英語で会話ができます。つまり、アメリカと日本の両方のアイデンティティを「ダブル」で獲得しているのです。そのことは、素晴らしい力になると思います。何より職業をはじめ、将来の選択肢が広がります。

 我が補習校では、高等部の生徒が中等部の生徒に「高等部に進学するように」勧誘を行います。合言葉は「続けよう、頑張ろう」です。

【回答者】南口 研司

シカゴ双葉会日本語学校補習校 (www.chicagohoshuko.com)の前校長。東京・神奈川で民間企業を経験。島根県の公立小学校教諭として15年間、香港日本人学校および公立学校校長として13年間勤務。2015年4月にシカゴに赴任。シカゴ双葉会は全日校と補習校が同居する教育施設であり、合計約900名の児童生徒が学ぶ。同校では帰国予定の子どもと永住の子ども両方に日米の架け橋となるように奨励し続け、2018年3月に帰国。

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