日本で働く日本人女性
〜企業でキャリアアップを望む人は少ない?〜

アメリカで勤務されているあなたの職場では、幹部や管理職に就く社員の男女比はどのようになっていますか? アメリカは「人種、性別、宗教など差別なく雇用すべき」という考えが根底にあるため、日本の企業と比べると女性比率が比較的高めかもしれません。

私はアメリカで働く日本人女性の一人として、今までアメリカの勤務環境ばかりを考えていましたが、ある日ふと「日本で働く日本人女性ってどうなのかな?」という疑問が湧いてきました。今月の記事では、日本で働く女性について考えたいと思います。

2014年にCatalystが発表した「各国の取締役会における女性比率」データによると、Catalystが独自に選出した44の先進国のうち取締役の女性比率が高い国は、1位がノルウェーで40.5%、アメリカは6位で16.9%でした。アメリカは女性の社会進出も進んでいると思っていましたが、数字で見てみるとまだまだですね。では気になる日本はというと、16位の1.1%という結果でした。

日本のこの順位と数値を見て、皆様はどう思われますか? 「結構悪くないね」と見るか、それとも「なんて低い数字なの」と取るか……。私個人の印象は後者でした。アメリカでさえ少ないと思ったので、この1.1%という数値にはびっくりです。

もっとも日本では、今後この数値を上げていこうと国全体でアクションを起こしています。たとえばアベノミクスが掲げる3本の矢の成長戦略。矢の一つに「女性が輝く日本」と題して、女性の社会進出推進が挙げられています。今後少しずつですが、日本で働く女性にとって、よい追い風が吹きそうです。

さて、この1.1%という数値は何を意味するのでしょう。これは、「日本の女性は第一線で働きたいが、それが実現できていない」ということでしょうか。それとも、何か別の意味があるのでしょうか。

先日読んだ本に、あるスイス人女性のリーダーシップ研究者が2015年に来日し、日本でセミナーを実施した際の体験談が書かれていました。さまざまな企業や役職の男女が70名ほど参加し、小グループに分かれて「女性リーダー育成に関する今後の課題」について議論したところ、全20組中の6組から「日本人女性がそもそもリーダーになりたいと思っていないことが課題だ」との意見が出たそうです。この結果にその女性研究者はショックを受けた……とありました。

もちろん日本で働く女性全員がこう考えているわけではないと思いますが、確かに一部の女性は、「自分はリーダーに向いていない」と考えているのは事実のようです。私は入社した当時からキャリアを積んで組織に貢献していきたいと考える派だったので、この結果に驚くとともに、淋しい気持ちになりました。

なぜ日本ではそう考える女性が多いのでしょうか。自分なりに分析し、以下の点にまとめてみました。

①女性社員の昇進率が低く、ロールモデルとなる女性管理職が不在
②社外の負担(育児、家事など)が多く、両立が大変
③「自分はリーダーに向いていない」という辛めの自己評価をしがち
④女性がガツガツと昇進を目指すのは好印象ではないという潜在意識

私は現職を通して、日本で働く優秀な日本人女性を何人も見てきました。そんな素晴らしい有能な女性に限って「自分はまだリーダーになる素質を完全に備えていないので、昇進なんて畏れ多いです」と辞退してしまうことがあるようです。いわゆる、上記の③④です。

今後は、そんな控えめでも優秀な日本女性たちが「リーダーとして頑張ってみようかな」と思える環境が整っていくといいですね。そんな方々が増えると、上記①が改善されていきます。すると、②のような問題を解決しようとする声が、少しずつ社内で大きくなっていくのではないでしょうか。

そんな単純なことではないかもしれません。でも、優秀な日本人女性たちがキラキラ輝きながら、リーダーとして一歩踏み出し、会社、ひいては社会に貢献できるようになれば、こんなに嬉しいことはありません。

<参考文献>
ギンカ・トーゲル著『女性が管理職になったら読む本 ―「キャリア」と「自分らしさ」を両立させる方法』(日本経済新聞出版社)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米20年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること17年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

この著者の最新の記事

関連記事

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る