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日本で住む家を探す(2)
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2018年7月19日
日本帰国時の住居探しについて、前回より3回に分けて紹介しています。2回目の今回は、長年米国に居住していた人(主に高齢者)が日本へ帰国する際、事前に知っておいた方が良いポイントのお話です。
1.帰国後の資金計画
帰国後については、生活費などを自分なりに調査したうえで大体の資金計画を立てると思います。その際の注意点としては、将来介護施設に入居する可能性があり、その費用も考えておくことです。
日本では公的介護保険制度がありますので、特養(特別養護老人ホーム)に入居したり、自宅において居宅介護サービスを受けたりすることである程度自己負担を抑えることができます。しかし、有料老人ホームなどの民間の介護施設に入居することになれば年間数百万円の費用が発生します。
帰国時にすでに日本で家を持っている、新規に購入する、賃貸住宅を利用するなど、人によってケースは異なりますが、この点を踏まえて将来の資金計画を立てておくとよいでしょう。特に帰国後家を購入するケースでは、将来の介護施設の費用は家を売却して捻出することになると思いますが、その売却額のことも考えながら計画を立てることが望まれます(5の不動産事情を参照)。
2.高齢者の賃貸住宅への入居
前回紹介しましたが、日本で高齢者が民間不動産業者の管理・仲介する賃貸住宅に入居するのは、孤立死等の社会問題により難しくなっています。たとえ保証人がいたとしても、借りられないケースは少なくありません。そうしたなかで高齢者でも利用できるのが、国や地方自治体が運営する賃貸住宅です。「UR住宅」「公社住宅」「公営住宅」と呼ばれ、公的制度のもとで運営していますので、入居時の契約手続きや入居後の住宅の維持管理が行き届いており、安心して利用できます。
特長としては年齢・国籍要件がないこと、入居時に必要な費用が敷金(2カ月分)だけで、民間の賃貸住宅にあるような礼金・仲介料が発生しないこと、物件によっては保証人が不要であることなどがあります。高齢者や外国籍の人でも利用できることから結構人気があり、希望してもなかなか入居できない物件もあります。詳細については次回紹介します。
3.住民票
住宅を購入したり借りたりする時の契約締結に際しては、日本国内の住民票や宣誓供述書の提示が求められる場合があります。海外からの帰国者であれば、一旦親族や知人の家に住む形で住民票を取得することができるケースもありますが、米国籍であれば在留資格(在留カード)がないと原則住民票を取得できません。そうした必要な手続きについては事前に確認しておきましょう。
4.住む場所
住みたいと考えている地域に空き家物件があることは言うまでもありませんが、高齢者の場合は以下のような日々の暮らしについても検討が必要です。
・(老後)生活に必要な公共施設(交通機関、金融機関、病院、福祉施設、店舗等)へのアクセスのしやすさ。特に65歳以降に介護認定を取り、介護保険サービスを受ける場合は福祉施設に近いと便利です。
5.日本の不動産事情
最近日本では賃貸住宅が増えています。人口減少傾向のなか、空き家増加の問題が取り上げられているにもかかわらずです。これは2015年に施行された相続税の改正により相続税基礎控除(非課税枠)が下げられたため、新たに納税対象となった一部の納税義務者が相続税対策として、賃貸住宅を建てているからです(賃貸住宅の場合、特例によって路線価が減額され、納税額が減額されます)。
また2020年の東京オリンピック開催に向け、首都圏を中心とした不動産価格の上昇が予想されます。そうした背景もあり、各種メディアでは不動産投資や賃貸住宅経営セミナー等の広告が頻繁に掲載され、業界全体が活況を呈していますが、一方で上記社会問題による不動産価格の下落が不安視されています。
また米国と異なり、日本の不動産価格は一部の人気物件を除いて新築時がもっとも高く、一度でも人が住んだり空き家のまま半年~1年程度経過したりすると価格が下がります。米国の不動産のように、時間の経過とともに不動産価格が上昇することはあまりありません。特に家を購入する場合は、こうした点を踏まえながら慎重に検討する必要があります。
いかがでしょうか? こうした情報についてはインターネットなどでも入手できます。日本への帰国を検討している人は、一度調べることをおすすめします。
次回は高齢者でも借りやすい、国や都道府県が運営している住宅について紹介致します。
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