【ニューヨーク不動産最前線】
スーパー不足による深刻な問題

今年は暖冬かと思っていたら、先週からニューヨークは氷点下を超す寒さになりました。みなさんの所はいかがですか?

ニューヨークの住宅は基本的に集合住宅です。マンハッタン以外の区(クイーンズ、ブルックリン、スタッテン)では一戸建てもありますが、マンハッタン島の中は基本的に100%集合住宅です。集合住宅もさまざまな規模がありますが、100戸を超す大型物件になると、ほぼビルの中で自前のスーパー(管理人・建物責任者)、ハンディマンがいます。

ハンディマンもスーパーも基本的にはエンジニアなので、ビル内で起こる不具合はまずこの人たちがチェックし、直してくれるという、とても頼りになり便利な存在なのです。

水漏れ、排水管の詰まり、ヒーターが作動しない、エアコンが動かない等、基本的にメカニックなことはすべてハンディマンかスーパーが修理・解決してくれます。一軒家なら自分で直すか業者の手配をしなければいけないところを、ビルに頼めば直してくれるというのは、住民にとってとても心強い存在です。

ところが最近、このスーパーの質が大幅に落ちてきています。通常、スーパーはハンディマンから何年か修行して昇格し、何十年も同じビルに勤務して、ビルのことを熟知している人たちでした。ところが、長期にわたるニューヨークの建築ラッシュで、全体的にスーパーが不足しています。

優秀なスーパーが新築のコンドミニアムに引き抜かれたり、またみずから条件の良いビルに転職してしまうスーパーが多く、ベテランスーパーが抜けた後には、元からいたハンディマンがスーパーになったり、一般公募でスーパーを探したりします。でも、新しく来る人にスーパーとしての経験がなかったり、ビルのことを知らなかったりして、いざ問題が起こった時の対応がお粗末になってしまうのです。

それまでは、問題が起こった時にスーパーに報告すれば即対応してくれていたものが、自分の手に負えないと言い出すケースをよく見聞きします。テナントが、ヒーターが動かないのでスーパーに報告したら、外部の業者に頼めと言われたというケースや、バスルームのお湯が急に出なくなったのでスーパーに見てもらったら、やはり外部の業者に頼めと言われた、というようなことが頻繁に起こるようになりました。いずれも先代のスーパーなら即対応してくれていたビルです。ひどい場合は、その業者まで自分で探せと言われる始末です。

これでは高額な管理費を払っている意味がありません。でも、優秀なスーパーを引き止める(あるいは新規に雇う)ためには、もっと高額な報酬を払わなければいけないのです。そのためにはまた管理費が値上げされてしまいます。

毎年スーパーがころころ変わっているビルもあり、住民にとっては一大事です。建築ラッシュの弊害がこんなところにも出ているのですね。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japan(現)に入社。東京で外資系企業のオフィス移転担当ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務に。1999年より住友不動産販売NYで住宅ブローカーとして活躍。趣味は旅行とトレッキング。

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