現実をハックする

『なぜ』このツール、この方法、このタイミング?など、オンラインビジネスやデザインの世界を一歩踏み込んで考えます。

私たちの生活により身近になっている“拡張現実”はご存知でしょうか。AR(Augmented Reality)は、ユーザーに新たな体験を与えるツールとして日々浸透していると感じます。

たとえばARの分野では、Niantic社によるスマートフォンアプリ「Pokémon GO」の2018年の収益が、2017年に比べて35%増しの約860億円の収入を上げたということが分かりました。

2016年のPokémon GOリリース時、アメリカのカレッジでは、どの生徒も一心不乱にスマートフォンを手にして、画面越しにモンスターボールを投げるのに夢中になっていたのは、いまだに記憶に残っています。

ARのキモとなるのは対象物であるマーカーの設定であり、特徴あるポイントに追従することで、あたかもスマートフォン画面の中に3Dオブジェクトが存在するかのように合成することができるのです。

Pokémon GOで使われているARは、Unityというゲームエンジンによって作られています。
個人使用であれば、Unityに付属するVuforia等のプラグインを使用することで、手軽にARを制作することが可能です。難しそうに見えますが、簡単なものであればコーディングの必要もなく、誰でも手軽に作ることができます。

そして、アメリカの大学でもアートの授業にARを積極的に取り入れたり、クラブでARを制作してみたりなど、“創造をするためのツール”として広く普及し始めています。

自分自身も、アクリル絵の具で描いた絵画に3Dオブジェクトを重ねるARのアート作品を制作しました。オーディエンスが現実と想像の世界の両方を比べることで、作品とのInteractionを起こしていたのが大変興味深かったです。

また、アメリカのニューヨークにある「ニューヨーク近代美術館」では、抽象主義のペインターJackson Pollockの作品と、デジタルアーティストによるARを使用した新たなコラボレーション“MoMAR”が2018年に行われました。アプリを配布することで、既存の絵に対する自分の視点とアプローチを他者と共用し、新たな体験と価値を生み出したのです。

ARはただ合成するというものではなく、いかに既存のものに対して新しい価値を提供し、共有するかにフォーカスした新しいコミュニケーション手段だと感じます。広告としてARを活用することで、ビジネスとしても応用できるのではないでしょうか。

一見何もない所に、あっと驚く仕掛けがあるのがARです。少年時代の冒険のような、あのワクワク感を思い出させてくれます。ARを発展させたサングラスやコンタクトが実用化された時、この世界の見え方がいったいどう変わるのか、とても楽しみです。

参考記事:
https://vrscout.com/news/artists-ar-takeover-museum-of-modern-art/
https://sensortower.com/blog/pokemon-go-revenue-december-2018

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

重岩 元(Gen Kasaneiwa)

重岩 元(Gen Kasaneiwa)

ライタープロフィール

株式会社グラフネットワーク、ロサンゼルス支社所属のデザイナー。2015年に渡米。カリフォルニア大学バークレー校で、アートとデザインを通して動画制作、ゲーム制作、AR、VR、WebVR、3Dプリントや3Dモデリングなどのテクノロジーを積極的に学ぶ。卒業後の現在は日米のWeb制作業務、アプリ開発、グラフィックデザイン全般を手がける。新潟県出身。

この著者の最新の記事

関連記事

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る