第75回 いよいよSAT本番

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)

2018年の11月、SATの日本語のサブジェクトテストを受験したニナ。締め切り直前に申し込んだせいで、自宅から車で40分近く離れた遠方の高校の受験会場で受けることになってしまった。会場では、ニナの学生証を見た試験官の先生に大きな声で「レドンドビーチ!」と驚かれたそうだ。驚かれるのは別にどうでもいいのだが、慣れ親しんだ環境で緊張せずに受験する方がいいに決まっている。ということでサブジェクトテストの反省を踏まえ、「SAT受験は自分の高校で!」が当面の目標になった。

さて、SATとは何? と思う方がいるかもしれないので、簡単に説明しよう。アメリカの大学に願書を出すには、高校での成績(GPA)、ボランティアやスポーツなどのアクティビティと並んで統一学力試験のスコアも必須だ。その統一学力試験にはSATとACTがあるが、周囲の経験談を聞くかぎり、カリフォルニアではSATを受験するケースが多いようだ。テストは(英語の)読解力、(英語の)文章と語彙力、数学で構成されている。

高校に入ると、PSATと呼ばれる、SATの模擬試験のようなものを受ける機会があり、生徒たちは徐々にSATの本番に向け準備を進める。また、塾に通ってSAT対策を受講する生徒も少なくない。

そして、ニナが11月に受けたサブジェクトテストは、特定の科目のテスト。大学の願書を出す際に、高いスコアを提出することで、その分野に強いことをアピールできる。たとえば、通常のSATにはない生物、化学、物理学、米国史、世界史のような科目、さらにはニナが受けた日本語をはじめとする外国語のテストが揃っている。

数回受けて最高点を提出

SATを受けると2週間ほどでスコアが分かる。つまり、大学の願書締め切りの少なくとも2週間前には最後の受験を終了させなければならない。「最後の」というのは、何度も受験が可能であり、通常は3回ほど受けて、そのなかの最高スコアを提出する生徒が多いからだ。

2019年のSATの試験日は、3月、5月、6月に1日ずつ設けられている。まだ公式サイトで発表されていないが、昨年の実績では、その後も8月、10月、11月、12月に実施される。ニナは3月の試験に向け、冬休みの間から「申し込んだほうがいいね。申し込むべきだね」と言い続けていたが、最終的に申し込んだのは1月末だったと思う。それでも、地元の高校にまだ空席があった。良かった。

あっという間に試験前日。金曜日の下校時刻、出先の私にLINEで本人から「Lと一緒にAの家に遊びに行ってくるね」と連絡。え! 大学受験の前日に友達と遊ぶって意味が分からないと思ってしまった私は、根っからの真面目過ぎる日本人なのだろうか。夜、戻ってきたニナに、「明日の準備しようと思ったけど、遊んじゃった。LはまだSAT受けないって。Aは受けるそうだけど、頭いいから大丈夫みたい」と、まるで他人事のように言われた。自分の高校で受けられるかどうかはすごく気にしていたのに、試験の準備自体にそこまで淡白とは。

当日は朝7時45分に高校に送り届け、終了の報告を受けたのは午後2時前。ランチタイムもなく、ハードなスケジュールだ。何かハプニングはなかったかと聞くと、次のような話をしてくれた。「ある子がIDを持ってきてないことが分かったの。先生に学生証、運転免許証、パスポートのどれでもいいから持ってないかって聞かれて、ないって。じゃあ、電話して5分以内に届けてもらえないかって聞いたら、それも無理だって。結局、その子、帰っちゃった」。なんというもったいないこと。

試験自体は「一生懸命やったけど、いいスコアじゃなかったらまた5月か6月に受けるからいい」とニナ。その前に志望校と専攻を決めないと。一番大事なことを先送りにしているのだった。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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