移民が米国にノーベル賞をもたらす 〜ことしの科学系受賞者6人全員が移民

 2016年のノーベル賞のうち経済と科学の分野で受賞した米国人6人全員が移民だ。さらに、2000年以降のノーベル賞の化学、医学、物理学の分野で受賞した米国人78人のうち約4割にあたる31人が移民だ。
 
 米国移民の多くはアメリカ到着時に20代だった。ノーベル賞受賞者の受賞時の平均年齢が59.5歳であることから、米国がノーベル賞候補者を選んで輸入しているわけではないことは明白だ。
 
 米国のノーベル賞受賞者に移民が多いことは、学問と研究の環境が整っていることや、社会と学術界が非常に開かれていること、そして、ノーベル賞受賞者たちや優秀な研究者たちによって米国経済が恩恵を受ける構造になっていることが反映している証拠だと考えられる。
 
 それを可能にした部分的要因は二つの法律にある。1965年の移民および帰化法では、国籍に応じた枠を撤廃しアジア人に門戸を開放し、1990年の改正法では、雇用基盤の永住権発給枠を拡大した。その結果、留学生が激増し、卒業後の米国内就業人数も増えた。しかも、留学生の多くは科学系や医学系の大学院に進む場合があり、医科学系分野での移民の活躍が特に目立っている。
 
 米国の大学院における科学分野での研究が1960年代以降に発達したことは、米国が移民や留学生に玄関を開け放ったことと無縁ではないこともそういった事象によって明らかだ。コンピュータやがん研究、そのほかの技術および科学分野で多くの優秀な学者や起業家、技術大手の頭脳が移民という事実は、それら二つの法律によって実現したといえる。
 
 【http://www.forbes.com/sites/stuartanderson/2016/10/16/immigrants-flooding-america-with-nobel-prizes/#6779a457f5f6】(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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