フラッキングが飲料水汚染も〜EPA、見解を修正

 環境保護局(EPA)はこのほど、石油や天然ガスなどの資源採掘で使われるフラッキング(水圧破砕法)に関する報告書を発表し、「特定の環境下では」飲料水を汚染することもあり得ると結論づけた。中間報告の「広範で体系的な影響」は及ぼさないという見方が修正されたことになる。
 
 ロイター通信によると、報告書は過去5年以上にわたる調査に基づき作成された。EPAのトーマス・バーク科学顧問は「データに複数の顕著な違いがあり、地域的、全国的な飲料水への影響調査に関する当局の能力を限定した」と前置きし、「決定的な結論には至っていないものの、フラッキングと飲料水の関係に関する科学的データとしては最も包括的な記録」と説明。「地方の政策決定者、業界、地域社会により多くの情報に基づいた決定を下すための科学的な根拠を提供する」とその意義を強調した。
 
 EPAはオバマ政権下で、石油やガスの掘削によるメタン漏れを規制するなど、大気や水の保全に関する重要な規制を導入したが、トランプ次期大統領の就任で規制が緩和の方向に進むと見られている。環境団体はEPAが政権交代の直前に見解を修正したことを歓迎しており、天然資源保護協議会(NRDC)の上席政策アナリストは「政権移行にあたり、連邦レベルでの行動が必要なことを示している。州や地域社会はこれまで以上にこうした真のリスクを防止するために力を尽くさなければならない」と話した。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る