上司が年下だと生産性下がる〜「情動感染」で職場に悪影響も

 自分より若い上司の下で働く労働者は幸福感が低下し、企業の業績にも影響を与える可能性があるという調査結果を、独コンスタンツ大学の研究者らが発表した。
 
 ウォールストリート・ジャーナルによると、調査は合わせて8000人近くを雇用するドイツ企業61社を対象に行われ、若い上司の下で働く労働者は、年上の上司の下で働く労働者に比べて怒りや不安といった否定的な感情を持ちやすいことがことが分かった。否定的な感情を抱く労働者が多い企業は、そうでない企業に比べていくつかの経済的および生産性の指標が9%低く、若い上司と年上の部下という関係は間接的に企業の業績を低下させる恐れもあるという。
 
 調査報告書は組織行動学の専門誌ジャーナル・オブ・オーガニゼーショナル・サイコロジー(電子版)に掲載された。
 
 調査を主導したフロリアン・クンツェ教授(組織研究)は、「年下の上司を持つことは長年の職場の常識と異なり、労働者が同僚や仕事に関して居心地の悪さを感じる可能性がある」と話す。部下が否定的な感情を抱くのは、60歳の労働者が25歳で独身の管理職の下で働くといった極端な場合に限られるものの、そうした感情が別の労働者にも広がる「情動感染」が起きる可能性もあるという。
 
 近年は、退職年齢の上昇、強制的に定年退職させる制度の減少、年功序列から成果主義への移行といった理由から若い上司と年配の部下という関係が多くなっている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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