小売店の店舗閉鎖が増える中、スニーカーのオンライン販売店グレイツ・ブランド(Greats Brand)は、今後2年間に10店以上の実店舗をオープンする計画だ。ただしいずれも3カ月〜1年の短期リースによる臨時店舗となる。
ウォールストリート・ジャーナルによると、2013年にニューヨーク市ブルックリンで創業した同社は「グレイツ」ブランドのスニーカーを50〜200ドルで販売。ほとんどの商品はイタリアで生産し、インターネットを通じて消費者に直販しているが、14年以降は3カ所で臨時店舗を試験営業している。 新店舗は、都市部を中心にコーヒーショップほどの広さ(700〜1000平方フィート)を計画しており、棚、植物、照明といった内装は自前で持ち込む。
グレイツは、8つのスタイルを柱に異なる色や素材を用いて販売しているため、従来の小売店より小回りが利く。17年3月にはプライベート・エクイティ会社JHパートナーズが主導する投資家集団から1000万ドルの資金を確保している。
小売り業界では、既存チェーン店の多くが長年にわたる過剰な拡張で収益が悪化し、オンライン・ショッピングの普及にも対応に苦しんでいる。4月には靴販売大手ペイレス・シューソースが破綻し、破産法第11条に基づく会社更生手続きの適用を申請すると同時に約400店の閉鎖を発表した。
そんな中、オンライン・ブランドは慎重に実店舗の展開に乗り出している。エバーレイン(Everlane)、キャスパー(Casper)、ウォービー・パーカー(Warby Parker)などは臨時店舗で客足や新しいコンセプトを試しており、環境に優しい婦人服ブランドのリフォーメイション(Reformation)も3月からマイアミで3カ月リースの店舗をオープンしている。
小売業界ではこれまで、15年より短い店舗賃貸契約が短期リースと考えられていたが、最近ではショッピングセンターの空室率を抑えて見栄えを良くするため、大家は1年未満のリースの必要性を考え始めている。長期テナントには多額の改装費用がかかることも多いが、短期テナントは「バニラボックス」と呼ばれる何もないスペースだけのリースが一般的なため、大家のリスクも低い。
また、近年はPOS端末の進化で携帯電話やタブレット端末でも会計ができるため、アパレル店などは比較的簡単に臨時店舗をオープンできる。さらに在庫を置かない店さえあり、紳士服のボノボス(Bonobos)は24店舗以上をオープンしているが、店では試着が可能なだけで、商品は宅配便で送られる。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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