建設や配管、電気設備といった専門業者らのあいだでも、必要資材および部品をオンライン調達する商習慣が広く浸透しており、既存大手の市場が侵食される「アマゾン(Amazon)効果」の表れだと指摘される。
アマゾンは、B2B(事業者間取り引き)事業の一環として、照明スイッチから油圧バルブにいたるあらゆる部品や資材をオンライン販売している。2017年7月には、各種業界の法人顧客が100万件を超えたと同社は発表している。
米国の産業用部品市場は約1300億ドルに上るが、その大半は現在でも、地元の部品小売店や流通大手らの販売員を通して調達されている。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、そういった部品市場は昨今、他店とのオンライン比較が可能で送料無料の場合も多いアマゾンやそのほかのオンライン部品取り引き業者からの調達に移行している。
年間売上高が100億ドルを超える北米最大の産業用資材販売会社W・W・グレインジャー(W.W. Grainger)は、安いオンライン店に数年前から客を奪われてきたため、2017年の夏に最大25%の値引きを実施している。
金属加工業者向け資材販売大手のMSCインダストリアル・ディレクト(MSC Industrial Direct)では、自社のオンライン売り上げが拡大しているため、4500ページのカタログの印刷部数を減らしている。
2016年におけるアマゾンの年商1360億ドルのうち、部品および資材類の販売構成比はわずかだが、同分野でも市場原理が働き始めており、価格競争が激化している。支店網や販売員の維持費がかからないオンライン業者は、送料と配送時間という不利点を低価格によって相殺するだけでなく、小売店や既存大手から市場を奪っている。
W・W・グレインジャーでは、メーカーや政府機関といった大口顧客向けの販売が2016年に前年比1%増、2017年には7%増とかろうじて成長したが、スポット注文は2016年以来25%も減少した。全米各地域の地元事業者たちがアマゾンに流れたためだ。
そのため、グレインジャーのような大手らは、大口顧客との取り引き関係強化と市場開拓を狙って、産業施設の改修や増強のための部品の見積もりといったサービスを拡充し、アマゾンにはできない分野での存在感を強めることで対抗している。
そのほか、オンライン購入では模造品や不良品を送られる危険性も高く、アマゾンでも近年には偽造品販売で訴訟に発展する例が増えている。そういった点も、既存大手らのアマゾン対抗策の一部となっている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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