アマゾンは高級ブランドに不向き?

オンライン小売り大手のアマゾンは近年、ファッション分野に力を入れ販売商 品の拡大を図っているが、高級ブランドに関しては、非正規業者の排除に消極的 なことなどが障害となって思うように取引先を増やせていない。

■スウォッチとは物別れ

ウォールストリート・ジャーナルによると、ロンジン、オメガ、ブランパンと いったブランドを持つスイスのスウォッチ・グループは2017年初頭、アマゾンで 同社の高級腕時計を売る計画を進めたが、協議は物別れに終わった。スウォッチ がアマゾンに偽造品や非正規販売店を積極的に排除することを書面で約束するよ う求めたところ、アマゾンがこれを拒否したため。

高級ブランド各社は「アマゾンの販売サイトはブランドが高級感や価格を維持 するために必要な厳しい管理を弱めてしまう」と話しており、スウォッチのほか グッチの親会社ケリング、リシュモン、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンと いった業界大手の多くは、アマゾンでの販売を控えている。

高級ブランドの不在は、ファッション業界に影響を及ぼしたいアマゾンの市場 戦略を妨げており、高級品が加わればより収益性が上がり、高所得層に人気の有 料特典制度「アマゾン・プライム」への愛着も高まると見られている。アマゾン はナイキなど一部のライフスタイル・ブランド大手には非正規販売業者や偽造品 の排除を約束して販売契約を取り付けているが、通常こうした約束をする相手は 相当の大手ブランドに限られる。ナイキの17年5月期の売上高は340億ドルと、ス ウォッチの約5倍に上った。

■価格は安い方がいい

アマゾンも偽造品は警戒しているが、本物が正規の販売網以外で売られないよ う手伝うことには消極的で、多くの第三者セラー(外部販売業者)が値引き価格 で商品を売ることは、アマゾンのサイトで売られる本物の価格を低く抑えること につながると考えている。

アマゾンの広報担当者は、同社がブランドやメーカーと協力して偽造品検出シ ステムの改善に取り組んでいると強調する。常にスキャンして疑わしい商品を阻 止する自動システムも導入したという。また、16年に導入したプログラムでは、 第三者セラーから手数料を取り、商品が本物だと証明できる領収書の提出を要 求。その後手数料は廃止されたが、古い契約によって手数料を払っているセラー は多く、このプログラムは偽造品に対するさまざまな保護をブランドに提供して いる。

一方、LVMHは、アマゾンで販売することにはほとんど利点がないと考えてい る。こうした高級ブランドが最も気にするのは、サイトではほかの商品とブラン ド品を隔離して表示することが難しいという点だ。5000ドルの高級イタリア・ブ ランド「ブリオーニ」のスーツが、200ドルの「ケネス・コール」のスーツと並 べて表示される可能性もあり、これは「販売環境も含めて高級品売買の本質に反 する」と、仏投資銀行ブライアン・ガルニエのジャン・カイユー氏は話す。

LVMHは最近、独自の販売サイト「24sevres.com」を立ち上げ、70カ国で厳選商 品の24時間配送を提供している。

しかし、高級品業界もアマゾンの膨大な顧客ベースを無視することは難しく、 市場調査ブルームリーチによると、米国では現在、オンライン支出1ドルのうち 40セント以上はアマゾンで使われている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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