昨今、医療分野での人工知能技術応用が盛んになっている。その波は、整形外科にも 広がり始めている。ベンチャービート誌によると、膨大な量のデータを学習することで 傾向や洞察を見つけ出す機械学習は、外見の修復や再建が重視される整形外科の治療法 や診断に試用または応用されるようになっている。
▽美容整形にとどまらず
整形外科という言葉からは顔の美容整形が連想されるが、実際には、やけどの処置や 皮膚がん切除後の皮膚再建、事故によって重度の損傷を負った部分の再建術または義肢 開発と多岐にわたる。
現在、人工知能技術が整形治療に試用または応用されるおもな分野には下記5つがあ る。
1)やけど
人工知能がやけど部分の程度や面積を正確に算出することによって、治癒期間の予想 や手術を必要とするか否かを正確に予想できるようになる。
これまでの研究では、人工知能技術を基盤とする反射分光分析や人工神経回路網モデ ルを使うことで、やけどが14日以内に治るかどうかを判断するのに応用されている。
2)人工神経回路網を活用する義肢
手や腕は構造が複雑だ。筋肉や骨、腱、軟骨が作用する複雑な動きをモデル化して解 析するには人工知能が役に立つ。
たとえば、人工神経回路網を使うことで、義手に組み込まれた制御装置がにぎりや手 首の動きをより正確に制御できるようになる。
将来的には、そうした義手から集めたデータを駆使して、先進的な義手を改良する研 究が格段に進むと期待される。
3)頭蓋骨
頭蓋顔面外科手術には、骨や筋肉の場所を移動させたり、頭皮を剥がしたりする手術 がともなう。生まれながらの頭蓋骨変形症の場合、新生児は生まれて間もなくそういっ た手術を受けることがある。小頭症の場合、生まれた直後には判明しないことも多いため、頭蓋骨の形状を正確に スキャンし、過去の小頭症データと、スキャンされた頭蓋骨データを照合して、小頭症 の確からしさを機械学習システムで早期判断する診断方法が実用化されつつある。
4)皮膚がん
皮膚がんでは通常、皮膚科医と整形外科医が共同治療にあたる。皮膚科医は、皮膚が んを発見すると、切除部分の深さや大きさ、手術痕の大きさに関して整形外科医と検討 する。
発見が早ければ早いほど切除痕は軽い。皮膚科医は、皮膚がんの早期発見によって術 後患者の暮らしの質を変えないようにするために、変性部位のデータと過去の皮膚がん のデータを機械学習システムで照合し、時間がかかる生体組織検査の前にがんの可能性 を判断できるよう試みている。
5)顔面整形
顔面整形では患者の顔面を術前に正確に計測する必要がある。大量の顔画像を蓄積し たデータベースと人工知能を使うことで、どのような整形が適しているかを外科医と患 者に助言できる。
最近の研究では、魅力的とみられる女性165人の顔画像を機械学習システムに学習さ せ、魅力的に映る種々の比率を算出して、外科医や患者に選択肢を提示する機能も試さ れている。
【https://venturebeat.com/2017/10/27/artificial-intelligence-is-changing-the- face-of-plastic-surgery/?google_editors_picks=true】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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