人工知能(AI)は、それほど遠くない将来に医療業界で重要な役割りを果たすと予想される。テックスペクティブ誌によると、医療業界で確実視される人工知能基盤技術の応用には下記三つが挙げられる。
▽健康保険に関する面倒さの解消
米国では各社による各種の健康保険の内容によって、保険適用対象の治療方法や病院、医師、薬が限定される。そのため、患者の半数以上が混乱した経験を持つといわれる。 患者は、自分が受ける診察や治療が保険適用かどうかを保険会社や医師に直接確認しなければならい。そういったことは非常に面倒で時間と労力を要し、米国の医療保険制度の深刻な問題として昔から議論されている。
ゾックドック・インシュランス・チェッカー(ZocDoc Insurance Checker)は、人工知能を利用する患者用アプリケーションを提供し、その解消を試みている。利用者が自身の加入する保険のカードをスマートフォンで撮影し、その画像を同アプリケーションでアップロードすると、その情報にもとづいて保険関連の疑問に対する回答を得られるしくみだ。 たとえば、利用者が特定の医師や病院に受診予約を入れたい場合、その医師または病院や受けたい治療方法が当該保険の適用対象かどうか、同アプリケーションが患者に代わって確認する。
▽健康に関する助言の提供
患者は病気になったときだけ受診するのではなく、健康の維持や増進、検診のために医師の助言を日ごろから得ることが望ましい。 ドック・ドット・エイアイ(Doc.ai)は、医師に診てもらわなくても患者自身が自分の健康について学べるアプリケーションだ。フィットビット(FitBit)に代表される身体装着端末と生命徴候データを連動させることもできる。
年齢や体重、性別、服用中の薬といった情報を同アプリケーションに入力すると、たとえば「コレステロール値を下げるにはどうすればよいか」といった質問に対する適切な情報がアプリケーションから提示される。アプリケーションでは対応できない場合には、医師に連絡するよう助言する。 ドック・ドット・エイアイの開発会社は現在、血液検査といった検査結果を評価するアプリケーションを開発中だ。患者はそれによって結果をよりよく理解できるようになる。また、医師は結果の評価に従来ほど時間をかける必要がなくなり、患者の治療にそれだけ集中できるようになる。
▽細かな変化を検知して受診を進言
医師は患者と四六時中いっしょにいるわけではなく、また、いっしょにいたとしても容体の細かな変化をもらさず見つけるのは不可能だ。病気の初期症状はわかりにくいことが多く、特に精神疾患の場合は早期発見が難しい。人工知能はそういった問題を解決できる可能性がある。現在、複数の人工知能技術開発会社が患者の表情や話し方の変化、生命徴候を追跡する技術の開発に取り組んでいる。アプリケーションによってうつや不安神経症を示唆す る変化を検出した場合には、専門医の受診を利用者に助言することで、悪化や自殺、事故を防ぐことを図る。
【https://techspective.net/2017/12/18/ai-addressing-3-major-healthcare- industry-concerns/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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