ケンブリッジ大学やオックスフォード大学、イェール大学の研究者やプライバシー保護運動団体、軍事専門家らは先日、人工知能が悪用された場合の深刻なリスクを警告する報告書を公表した。
ロイター通信によると、98ページの同報告書は、国家や組織犯罪集団、単独犯が5年以内に人工知能を悪用して攻撃する可能性がある、と警鐘を鳴らす。人工知能を悪用すれば、標的を精密に絞り込んで非常に効率的かつ大規模の攻撃が可能となり、電子的、物理的、そして政治的にも脅威をもたらす、と研究者らは指摘する。
同報告書は、人間の代わりに人工知能が労力や専門知識を提供することで攻撃にかかるコストが下がるため、いままでは人間だけでは実行不可能の新しい攻撃や、人工知能システム自体の弱点を突く攻撃が可能となる、と警告する。
研究者らはそれと同時に、議会や政府、技術専門業界が連携してそういった危険の排除に取り組むべきだと呼びかけている。
同報告書はまた、他人になりすまして画像や文章、音声をオンラインで流すことで世論操作するのに人工知能が悪用される可能性も問題視している。さらに、人工知能に関する新技術の開発については、ほかの専門家らが検証して潜在的危険性を排除できるようになるまで公表を控えるべきだと提唱。攻撃者たちに早期に悪用される事態を避けるためだ。
人工知能の悪用例はすでに表面化している。有名人の顔を別人の裸体と巧妙に合成した「ディープ・フェイク」と呼ばれるポルノ動画が2017年末に登場している。ディー プ・フェイクには人工知能技術が使われている。
人類に利益をもたらす友好的人工知能を研究する非営利団体オープンAIのジャック・クラーク政策責任者は、「悪用例がポルノというかたちで出現したが、ディープ・フェイクのようなことが政治宣伝に悪用される危険性も十分にある」と述べた。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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