配車サービス、医療搬送にも進出

 配車サービス会社が、緊急時以外の医療搬送サービス市場に参入している。
 
 ■従来サービスに限界
 
 オートモーティブ・ニュースによると、米業界大手ウーバー・テクノロジーズ とリフトは3月、医療ケア提供者が費用を負担し、診療所や病院に行きたい障害者や高齢者に移動手段を提供するサービスを開始した。従来の医療搬送サービスは、コストが高い上に複雑で利用者の不満も多く、市場は創造的破壊の時期に来ている。両社に加えてフォードもこの市場への進出を試みているほか、自動運転車の開発に取り組む自動車メーカーやサプライヤーは、自動運転車の実現によってこの問題を解決できると考えている。
 
 現在のサービスは、患者を車に乗り降りさせるための人が必要で、予約は前日からしなければならず、車いすのような医療機器を置く場所がないなどニーズに合わない車を供給されて不満を抱く患者も多い。料金は1回100ドルかかることもある。
 
 フォードのシティ・ソリューションズ責任者ジェシカ・ロビンソン氏は「この分野は効率が悪い部分が多く、使い勝手の悪さにつながっている。解決には医療機関との多くの調整が必要」と指摘する。フォードは1月にトランスロック(TransLoc)とオートノミック(Autonomic)を買収し、複数の医療機関と連携しながらミシガン州で非緊急医療搬送サービスを拡大しようとしている。トランスロックは都市部のマイクロトランジット(小規模旅客輸送)プログラムを管理するサービスで、オートノミックは自動車やトラック、歩行者、交通インフラに関するデータを共有するクラウドサービスを提供している。
 
 ■技術以外にも課題
 
 専門家によると、医療搬送サービスを成功させるには、消費者の教育、価格設定、運営など多くの課題を克服しなければならない。電器大手パナソニックのモビリティ・サービス責任者、石合泰司(いしあい・やすし)氏は、テキサス州で3月前半に開かれた大規模イベント「サウス・バイ・サウスウェスト」で「誰も が技術が重要と考えるが、いかに顧客ベースを確保するかや価格設定が非常に重要だ」と話した。
 
 パナソニックは自動車部品やラジオ、電子センサーの製造で知られるが、最近は各種サービスへの活用法を探るために自動運転車の試作も行なっており、自社で開発したレベル3(条件付き自動運転)の自動運転車を使い、人口2万人の福井県永平寺町で移動サービスの試験を進めている。この地域は高齢化が進む一方で交通機関がないため、地元自治体も同社の取り組みを支援している。石合氏は 「当社に自動車を販売したりメーカーの領域を侵したりするつもりはない。われわれは新しい輸送サービスを確立したい」と強調した。
 
 ロジスティクスを改善し、消費者の要望に応える上で必要なソフトウェアは、普通の配車サービス会社が使っているソフトに似ている。障害者向け輸送サービスの利用者とサービス提供者をつなぐソフトを提供するゴーイン(Goin、ワシントン州)のジャスティン・バーゲナーCEOは「多くはコミュニケーションの改善に行き着く。うまく意思を通じ合うことで、手続きが誰にとっても簡単になる」という。
 
 同氏は家族経営の医療搬送会社を運営していたが、市場が細分化されすぎて利用者のニーズに応えられない現状に不満を抱き、15年にゴーインを設立した。「重要なのは、様々な事柄を望ましい時と場所に望ましい形で配置すること」と話している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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