新田汽船に罰金100万ドル〜司法省、汚水の垂れ流しで

 船底にたまる廃油や汚水を海に投棄することは国際規約で禁じられているが、洗浄装置を使った適切な処理をしないまま垂れ流す船が後を絶たない。最近では日本の新田汽船(兵庫県)が、ノースカロライナ沖で汚染物質を海に流し、虚偽の書類を作成して隠蔽を図ったことを認め、司法省から100万ドルの罰金支払いを命じられた。
 
■不正は後を絶たず
 
 ウォールストリート・ジャーナルによると、新田汽船の船は産業資材をノースカロライナ州ウィルミントンに運んでいたが、2017年5月に沿岸警備隊の立ち入り検査を受けた際、乗組員の1人が廃油や汚水の垂れ流しをチーフエンジニアが乗組員らに命じていることを検査員に通報した。乗組員は放出に使うホースの隠し場所なども伝え、チーフエンジニアは当局の調べに対して最初は否定していたが、最終的に認めた。チーフエンジニアは罰金付きの保護観察処分となり、会社は罰金のほか法令順守計画の導入を命じられ、3年間当局の監視下に置かれることになった。
 
 連邦政府の取り締まりの対象は、国際海事機関(IMO)で定められた関連規約を執行するための国内法「船舶からの汚染防止法」の違反者。17年はプリンセス・クルーズ・ラインが5隻のクルーズ船で、時間のかかる油や汚水の洗浄を避けようと特殊な装置を使い、虚偽の記録を残してこの行為を隠していたため、4000万ドルの罰金支払いを命じられた。この種の罰金額としては最高だったが、今も多くの会社が規制逃れを試み続けている。
 
■年間10〜15件のペースで起訴
 
 司法省が初めて船舶業者を汚染で訴追し始めた1990年代末以降、これまでに140社が有罪判決を受け、合計約4億7200万ドルの罰金が科されている。同省環境および天然資源局のジョー・プー副局長によると、当局は年間10〜15件の違反を訴追し続けているが、沿岸警備隊は船舶の5〜10%しか検査できないため、見つからないだろうと違法をはたらく業者が多いという。
 
 違反は、漁船から最新の巨大コンテナ船まであらゆる種類の船が行っているといい、プー氏は「中国の造船所から出てきたばかりの真新しい船がここに来る間に垂れ流しをやっているのを見たことがある」と話す。
 
 廃油の混じった汚水は、エンジンやその他の船上活動から生まれる産業廃棄物で、次第に船底にたまる。船のエンジニアはこれを分離装置に通し、油をろ過しなければならないことになっているが、処理には時間がかかり、常に乗組員が見ていなければならない。天然資源保護協議会(NRDC)のデイビッド・ペティット上席法務担当者は「できるだけコストや時間を減らしたいというのが海運会社の自然な傾向で、それが時にポンプで船外に放出するという違法行為に走らせる。沿岸警備隊はすべての場所を見守ることはできず、領海の外までは管轄しないため、監視は難しい」と説明する。船舶保険会社ロンドン・クラブのスティーブ・ロバーツ氏は「自分の経験では、ほとんどの船舶オーナーは真剣に環境汚染の防止に取り組んでいるが、乗組員にその手順を守らせるのが難しい」と話している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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