ケーブルTV解約、18年は32.8%増か

 ストリーミング・サービスの利用拡大を受け、米国ではケーブルTVのサービス利用者が予想を上回るペースで減少している。
 
 ウォールストリート・ジャーナルによると、オンライン広告リサーチ会社イーマーケターは最新分析で、2018年の有料テレビ解約件数は前年から32.8%(約800 万件)増えて3300万件に上ると予想。従来の2710万件から上方修正した。20年までには米人口の17%超に相当する約4500万人が有料TVの利用をやめると見ている。
 
 これに対し、ユーチューブ、ネットフリックス、アマゾン、フールーといったストリーミング方式のコンテント視聴者は、各社がオリジナル番組への投資を拡大する中で増加している。ただしネットフリックスは、4〜6月期の顧客増加数が予想の120万人には届かず67万人にとどまった。
 
 ネットワークのテレビ局は、ケーブル解約の増加で失った収入を捕うため、独自の強力なオンライン・サービスを開発する必要に迫られている。
 
 一方でケーブルTV業界は、成長分野の1つであるブロードバンド接続への依存を強めているほか、ストリーミング・サービスとの提携を図っており、チャーターは17年、有料TVアプリにネットフリックスを統合する計画を発表。数カ月後にはコムキャストもハイテク有料テレビサービス「X1」にネットフリックスを含めた。それでも18年1〜3月期はチャーターが12万2000人、コムキャストは9万6000人の動画顧客を失い、ベライゾン・コミュニケーションズも「ファイオス(Fios)」の動画顧客が3万7000人減少した。
 
 伝統的なメディア会社は動画ストリーミング・サービスを構築しており、ディズニー傘下ESPNは、大学の対抗試合、プロゴルフ、テニス4大大会といったスポーツのライブ放送を含む月4.99ドルのサービス「ESPN+」を立ち上げ、19年下半期には「スターウォーズ」や「モンスター・インク」など多くの娯楽資産を売り物にしたストリーミング・サービスを始める。
 
 またCBSは、14年に始めたストリーミング・サービス「CBSオール・アクセス」でオリジナル番組を増やしている。メディア間の合併も加速しており、AT&Tがタイムワーナーを買収したほか、ウォルト・ディズニーは21世紀フォックスのエンタテインメント資産買収を進めている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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