自動運転車への期待の高まりに伴い、自動車保険業界では技術の影響を理解しようとする動きが強まっている。
GMオーソリティーによると、自動運転車は今後30年ほどかけて大衆市場に普及するが、初期の緩やかな普及だけでも自動車保険業界に影響を及ぼすと予想される。
全米相互保険会社協会の企業渉外責任者ニール・オルドレッジ氏は、「自動車保険に深くかかわるわれわれのあいだで、AVと保険に関して苦悩と不安と懸念が渦巻いている」と、ミシガン州アナーバーで最近開かれた会議で語った。「同技術を理解するために、われわれはできることをすべてすべきだ。しかし、パニックを起こす必要はない。物事を見極めるための時間はまだある」。
保険業界では、自動運転技術の普及によって初期には保険金請求が増え、事故責任が運転者から車に徐々に移行していくと予想する。
AV普及初期での保険料の値上がりは、業界内で広く予想されている。自動運転技術によって事故が回避されたり事故の深刻度が和らいだりすることは見越されるものの、高価な機器類の修理費用がそれ以上に保険コストを高めるとも予想されるためだ。
たとえば、近年普及するようになったアクティブセーフティー(予防安全)システムがある。自動車研究センター(CAR)の分析責任者リチャード・ウォレス氏によると、緊急ブレーキ制御システムや駐車支援システムを搭載した車の保険料は10%ほど上がった。同様のことは自動運転車でも起きると予想される。
ただ、長期的には市場で自動運転車の割合が高まるにつれ事故が減り、保険申請件数が減るため保険料も下がるというのが現時点での希望的観測だ。とはいえ、特に都市部では車を持たずに自動運転車の乗合サービスを利用する人が増える可能性が高いため、自動車保険に個人加入する人は減るかもしれない。
その代わりに増えると予想されるのが、自動車メーカーが管理車両すべてに一括して保険をかけるというやり方だ。GMを含む自動車製造大手は、車載ソフトウ ェアと車両および運転データの所有者となるため、保険申請の調査でも優位に立つ。
自動車保険会社はその一方で、自動運転車の利用者をサイバー攻撃から守るための新しい保険商品を開発する可能性もある。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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