ソニーとカナダ公益会社、蓄電システムを試験へ 〜 2017年での商用化目指す

 ソニーと、カナダの公益会社ハイドロ・ケベック(Hydro-Quebec)による合弁会社エスタリオン・テクノロジーズ(Esstalion Technologies)は、600個近い電池を使用した蓄電システムの試作品の試験をまもなく開始する。

 ハイドロ・ケベックのカリム・ザグヒブ蓄電事業担当責任者によると、エスタリオンの社名は、「エネルギー・ストレージ・システム」と「リチウムイオン」をかけ合わせた造語だ。

 グリーンテック・メディアによると、同社にはソニーとハイドロ・ケベックが50%ずつ出資しており、現在は事業の立ち上げ段階にある。製品は一つのみ。ザグヒブ氏は、2016年中に試験を終え、2017年に商用化したいと話している。

 同システムは1.2メガワット時の容量で、ソニー製の電池576個を使っている。オリビン型リン酸鉄リチウムイオンを用いており、1個あたりの容量は1.2キロワット時だ。

 ソニーは、正極材料にオリビン型リン酸鉄リチウムを使用したリチウムイオン二次電池を2009年から商品化している。ソニーによると、リン酸鉄リチウムは資源的にも豊富で、寿命が10年以上という利点がある。

 エスタリオンの試作品にとって、この長寿命性能が重要な競争力になる、とザグヒブ氏は説明している。

 ただ、発表資料は、「電池モジュールをソニーが製造し、ハイドロ・ケベックのリン酸鉄リチウムイオン技術を使用する」と説明されている。ザグヒブ氏によると、ハイドロ・ケベックはその化学ノウハウを2003年以来、ソニーにライセンス提供してきた。

 ハイドロ・ケベックは、独自の研究機関「IREQ」を持っており、500人の研究員と年間1億カナダ・ドルの予算を割いている。同研究所では1967年以来、蓄電技術の研究に投資してきた。

 研究班はモントリオール大学と深いつながりがある。ハイドロ・ケベックとモントリオール大学は最近、台湾の電池素材製造大手でソニーとも関係のあるアリース(Aleees、立凱電能科技股?有限公司)と提携関係を結んでいる。

 エスタリオンの製品試験はIREQの研究所で行われる。

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